今後日本でも実店舗が増える? Amazonと違う価値を実店舗が追求すべき理由

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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時間をどう消費させるかがポイントに

 少々厳しい言い方になりますが、現在、多くの実店舗では基本的に商品が所狭しと詰め込まれており、従業員は商品の棚卸しのためにいるだけとなっています。この状態は言ってしまえばAmazonとほとんど差がありません。この状態が続くと、「ただ物を消費するだけであればAmazonでよいのでは」という話になりますが、店舗に買物に行くという行動には、やはり別の目的があるはずです。

 たとえばショッピングモールに行く際も、「家族で行けばこういう会話があるかな」などと店舗側は想像することができます。だから店舗側も、「自店でどのように時間を消費させるか」という視点が今後重要なポイントになってくるでしょう。突き詰めていくと、物を置く必要はあまりなく、どういう時間を消費させるかということに目線が変わるはずなのです。

 究極的にはモノがなくても、「体験してオンラインで買っていただく」という、現在のモノの置き場というところからは生まれない発想も当たり前のように生まれてくるはずなのです。

 そもそも実店舗も、モノの置き場にしようとしてなっているわけではなかったはずです。これまでの小売業のKPIは、坪当たり売上の最大化に焦点が当たり、坪当たりに「商品=売上」が詰め込まれ、かつ労働コストを下げるためにスタッフを減らすことになり、今も自動レジやセルフレジの導入が進められています。もちろんそれも1つの方法ではありますが、それではエンゲージは上がらず、世界規模で展開するAmazonに勝つことはできなくなるでしょう。

 結局、「Amazonと正面から戦わない」ということが最も有効な対応策で、Amazonにはできない方向性を模索する必要があるのです。これはAmazonに商品を流さないから関係ないという話ではありません。メーカーであればAmazonに商品を流していなくても、ほかの似た会社がAmazonで似た商品を展開することになるため、やはり同じ状況になります。だからこそ、すべての小売業がAmazonとは違う価値に向かって転換する必要があるのです。

 

プロフィール

望月智之(もちづき・ともゆき)

1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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