営業利益350億円をめざし中期経営計画が始動! 三越伊勢丹HD、起死回生の個客戦略とは

崔順踊(リテールライター)
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三越伊勢丹ホールディングス(東京都/細谷敏幸社長:以下、三越伊勢丹HD)は5月13日、2022年3月期の連結決算を発表した。ウィズコロナ生活が定着しつつある昨今、百貨店業界では客足が回復基調にある。オンライン接客や宅配業者との連携など、新しい買物体験や百貨店店舗の在り方を牽引する同社の通期実績と中期経営計画の進捗について解説する。

三越伊勢丹のめざす新しい百貨店が、業界浮上の起爆剤となるか

コロナ影響残るも黒字を確保

 三越伊勢丹HDの22年3月期(21年度)通期の連結業績は、売上高4183億円だった(当期より「収益認識に関する会計基準」などの適用のため前期比較はなし)。前期比較可能な総額売上高が対前期比11.8%の9121億円、売上総利益が前年度比7.1%増の2436億円だった。

 営業利益は59億円(前期210億円の赤字)、当期純利益は123億円(前期411億円の赤字)となった。コロナの影響は依然としてあるものの、経費コントロール、不動産売却などにより黒字化を果たしている。

 第4四半期期(1月~3月)の連結業績では、全社的な経費削減などにより販売管理費を抑えることができ、四半期純利益がコロナ前の18年度を超える水準の114億円となった。長引くコロナの影響に対して収支構造計画を進めてきたことで、固定費を下げる構造になったことが今後の業績に貢献するだろうと同社は評価する。

 セグメント別は、百貨店業の総額売上高が同14.6%増の8617億円となり239億円の回復を見せたが、セグメント利益は63億円の赤字に沈んだ。クレジット・金融・友の会業は総額売上高が329億円と同1.2%増の増収。不動産業は前期の不動産子会社株式売却により総額売上高は180億円で同37.3%減となっているが、営業利益は前年同水準を維持した。

固定費削減で今期も増収増益へ

 2023年度3月期(22年度)の業績予想では、売上高が同18.1%増の4940億円、営業利益は同135.7%増の140億円、当期純利益は同37.8%増の170億円としている。

 売上が回復傾向にある百貨店事業では、外商顧客を中心とした売上拡大をめざす。コロナ禍の影響によるインバウンド減少、首都圏のEC販売伸長は継続すると想定している。加えて、攻めに転じるための業績に連動した収支構造改革によって固定費削減を継続し、増収増益をめざす。

 堅調なクレジット・金融業では、エムアイカードの顧客獲得に力を入れ、先行投資を計画する。また、不動産業では不動産売却などによる減益を計画している。

 以上の計画によって22年度はコロナ以前の19年度と同等水準の営業利益を確実に達成し、24年度には統合後最高益である営業利益350億円をめざす。

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