ライフ、独自商品を充実させ差別化を図る 和菓子新ブランド「花よつば」が好評
和菓子の新ブランドが好調
── こだわり・高質のうち最近、どのような商品に力を入れていますか。
荒田●重要なキーワードのひとつは「健康」です。高齢化が進行、また忙しい時代にあっては、健康的なアイテムへの需要が高まってきます。「減塩」や「カロリーオフ」などが特徴の商品の取り扱いを広げており、動きも上々です。
「環境」へ配慮したアイテムも意識しており、品揃えを増やしています。それらを切り口に、味、品質のよい品揃えでお客さまの満足度を上げていく考えです。
── そのような、こだわりや高質商品は、いかにして各店舗の売場に落とし込みますか。
荒田●当社では、各地にある店舗を商圏特性により9つに分類しています。「価格感度」や「健康」など、需要の大きさによってID-POS分析しており、地域のお客さまのニーズに合ったカテゴリー・商品を展開する作業を進めています。
具体的には、「健康」、「品質」、「高級志向」といった分類です。たとえば「高級志向」のお客さまが多い店舗には、通常アイテム数比率で2割ある高級志向商品を3割にするといった要領です。これにより各店の特徴を売場で表現します。
── 効果的なカテゴリーはありますか。
荒田●前年度下期に、まず「和風調味料」で高質商品を取り入れて実験しました。こだわりのポン酢やしょうゆ、酢などで、いずれも好調に推移したのを受け、今期は「はちみつ」「米菓」「ジャム」などの品群にも、高質商品を取り入れつつあります。
── PBについての取り組みを教えてください。最近、開発して好調な商品にはどのようなものがありますか。
荒田●今年3月から、「花よつば」という「和菓子」の新ブランドを立ち上げました。そのもとで栗まんじゅう、草餅、桜餅、わらび餅など、7月までに12 品を揃え、どれもよく動いています。
実は和菓子自体は近年、需要が減少しているダウントレンドのカテゴリーですが、取り組み次第では、支持を獲得できる商品がつくれます。今後も、同様の取り組みで独自商品を広げていきます。
下期注目している商品は
── 下期の注目商品はありますか。
荒田●加工食品では、日清オイリオグループが9月に発売する紙パックタイプの食用油。「日清キャノーラ油 450g紙パック」「同 ハーフユース 450g紙パック」「日清ヘルシーごま香油 450g紙パック」の3品があります。「SDGs」への関心の高まりもあり、容器に使用しているプラスチックの量を大幅に低減しているとのことで、「環境」への負荷を低減する商品として注目しています。
またサンヨー食品の「サッポロ一番 減塩」シリーズは、「健康」志向の商品としてユニークです。ラーメンは、「減塩」にするとおいしさが損なわれてしまうようなイメージがあります。しかし最近の「健康」志向のお客さまに受け入れられるかどうか、関心を持って見ています。
── 興味深いですね。
荒田●需要が拡大する「簡便」商材として注目しているのは、味の素の「CookDo®」シリーズの、「極(プレミアム)麻辣麻婆豆腐用」です。中華調味料や香辛料にこだわったという本格志向の商品。コロナ禍で、自ら調理することが習慣化した人も多く、家庭で本物の「味」を楽しめる商品には需要があるのではと考えています。
── 一方、販売促進策での工夫はありますか。
荒田●当社は、価格だけで勝負する「同質化」競争はしない方針です。しかし今後も続くとみられる値上げに対しては、当社を選んでもらうため、ある程度は対応する必要があります。
月4回打っているチラシは従来、1週目の目玉商品には加工食品、3週目には日配を打ち出し、集客するのが習わしでした。しかしコロナ禍で節約志向のお客さまが増えるほか、価格高騰もあり、部門を限定せずに低価格を強めた商品をアピールして、集客しようと考えています。その際、「スマイルライフ」や「スターセレクト」といった、価格面で魅力あるPBも強い武器になると思います。
── 最後にこれからの意気込みを教えてください。
荒田●差別化といっても、すべてを高質にシフトするわけではありません。「価格と価値」のバランスを見極めながら、お客さまに喜ばれる品揃えを行っていきます。