家庭用食用油市場は値上げにより生活者の購買行動に変化!?価格から価値で選ぶ時代へ

ライター:山田陽美
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2021年から続く価格改定と家庭内調理機会の増加で堅調な拡大が続いている家庭用食用油市場。22年度は平均単価がアップし、金額ベースでは過去最高を更新した。各社では継続的な市場拡大に向け、使い方提案に力を入れている。

オリーブオイルイメージ
MarianVejcik/i-stock

キャノーラ油から低吸油やこめ油へシフトが加速

2022年4月~23年3月までの食用油市場は、金額ベースで対前年同期比7.9%増、容量ベースで同6%減。原料高騰などの影響で21年に引き続き、22年も段階的に価格改定を行ったことで、金額ベースでは過去最高を記録した。キャノーラ油などの汎用油の平均単価は、19年と比較して1㎏あたり128円の値上げとなっている。

カテゴリー別にみると、キャノーラ油は金額ベースで同11.3%減、容量ベースで同35.7%減。金額・容量ともに大きく前年を下回った。レギュラー油は金額ベースで同172.2%増、容量ベースで同195.2%増と大きく拡大。PB品など、より価格の低い商品の需要が高まったことが予想される。

汎用油で需要を伸ばしているのが低吸油。日清オイリオグループの「日清ヘルシーオフ」が中心のカテゴリーで、揚げ物の吸油量を減らせるのが特長だ。金額ベースで同214%増、容量ベースで同158.1%増と、大幅に拡大した。同社ではそのほか、揚げ物調理時の油のにおいが気にならない「日清キャノーラ油ナチュメイド」、いつもの1/2の量で調理ができる「日清キャノーラ油ハーフユース」など付加価値の高い油をクッキングオイルとして提案している。

また、こめ油もここ数年右肩上がりを続けているカテゴリーで、金額ベースで同23.9%増、容量ベースで同16.9%増。こめ油はクセがなく、風味がよいため、加工食品や揚げ菓子など業務用で広く使われてきたオイルで、一般的にも健康感や使いやすさなどが浸透し、市場を拡大している。食用油の値上げにより、生活者の購買行動が変化しており、クッキングオイルは価格だけではなく価値で選ぶ時代になっているといえそうだ。

認知が広がりMCTオイルが急成長

食用油市場を牽引してきたオリーブオイルは、厳しい状況が続いており、金額ベースで対前年同期比1.4%減、容量ベースで同9.3%減。オリーブオイルは主要原産国であるスペインの不作による減産で相場が高騰しており、日清オイリオグループは昨年7月に続き、今年3月にも値上げを行った。さまざまな料理で楽しまれているオリーブオイルだが、値上げにより使用量の減少が懸念される。引き続き、おいしさや使い方を訴求していくことが求められる。

ごま油は、金額ベースで同2.1%減、容量ベースで同3.9%減。ごま油も同様に値上げが行われたが、炒め調理から料理の風味付けまで、幅広く家庭に定着しているため大きく落とすことなく堅調に推移している。

体によい成分を含み、サプリメントのように毎日の摂取が推奨されるプレミアムオイルは、金額ベースで同0.8%減、容量ベースで同2.2%増。金額ベースの主な内訳は、しそ・えごま油が同8.1%減、アマニ油は同4.2%減、MCTオイルが同36%増となった。消化吸収がよく、エネルギーになりやすいMCTオイルを使用した加工食品が続々登場しており、認知も広がりつつある。

日清オイリオグループでは、MCTオイルを使ったドレッシングソースに続き、マヨネーズタイプ調味料をこの春に発売。毎日の食生活にMCTオイルを取り入れてもらうことで需要拡大を図っていく。

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