米輸入物価、3月は2.3%下落 5年2カ月ぶり大幅マイナス

ロイター
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ニュージャージー州ニューアークの港
米労働省が14日発表した3月の輸入物価指数は前月比2.3%下落と、2015年1月以来、5年2カ月ぶりの大幅な落ち込みとなった。ニュージャージー州ニューアークで2017年11月撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

[ワシントン 14日 ロイター] – 米労働省が14日発表した3月の輸入物価指数は前月比2.3%下落と、2015年1月以来、5年2カ月ぶりの大幅な落ち込みとなった。石油製品やその他広範な項目のモノが値を下げた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴い輸入物価が一段と下落したことを示した。市場予想は3.2%下落だった。

2月の輸入物価は当初発表の0.5%下落から0.7%下落へ下方改定された。輸入物価には関税が含まれていない。

3月の前年同月比は4.1%減と、16年6月以来の大幅な落ち込みだった。2月は1.3%下落していた。

労働省によると、集計はできる限り月初めに近い取引の見積もりを集める。労働省は、新型ウイルスのパンデミックに直接関係していないとした上で、3月の回答率は前年同月と比べて約6.5%ポイント低かったと述べた。

10日に発表された3月の消費者物価指数(CPI)は5年超ぶりの大幅なマイナスとなった。ガソリンの値下がりが目立った。宿泊や衣料、航空費は過去最大の落ち込みを記録した。3月は卸売物価指数(PPI)も下落した。

物価の弱含みは需要が抑制されていることを反映している。州や地方政府は、新型ウイルスの感染拡大を抑えるために厳しい規制を導入し、経済活動が急停止したほか、何百万人もの失業者が出た。

同時に、世界経済が景気後退に陥る見通しや、産油国であるロシアとサウジアラビアの価格競争のさなか、原油価格が急落した。価格競争はその後、解決した。ガソリン安と需要の弱さは、供給網の混乱による価格上昇を相殺する見込みだ。

オックスフィード・エコノミクス(ニューヨーク)のシニア米国エコノミスト、ジェームズ・ワトソン氏は、ドル高、原油安、世界的なリセッション(景気後退)で輸入物価の下落は根強いと指摘。ムーディーズ・アナリティクス(ペンシルベニア州)のシニアエコノミスト、ライアン・スイート氏は「米国の消費者物価(CPI)総合指数の前年比での上昇率は第2・四半期に0.5%を下回る水準に低下し、その後もこれに近い水準で推移すると予想している」とし、「今年はコアCPIも顕著に減速する」と述べた。

3月の内訳は、燃料・潤滑油が26.8%下落し、08年11月以来の大幅なマイナスとなった。2月は9.0%下落していた。石油製品は27.4%下落。2月は8.8%下落していた。食品は1.0%下落。2月は1.3%上昇していた。

燃油と食料を除くコア輸入物価は0.1%上昇。2月も0.1%上昇していた。3月の前年同月比は0.6%下落だった。

資本財は0.1%上昇。2月も0.1%上昇していた。

自動車は0.4%上昇。2月は横ばいだった。自動車を除く消費財は0.3%下落。2月は横ばいだった。基調的な消費者物価が弱含んでいることを示唆した。

中国からのモノの輸入物価は0.1%上昇した。2月は0.3%下落していた。3月の前年同月比は1.2%下落。

輸出物価は前月比1.6%下落し、15年1月以来の大幅なマイナスだった。農産物と非農産物が値下がりした。2月は1.1%下落していた。3月の前年同月比は3.6%下落し、16年5月以来の大幅なマイナスだった。2月は1.3%下落していた。

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