米個人消費、12月は前月比0.3%増 所得は緩慢な伸び

ロイター
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買い物客の様子
31日、米商務省が発表した2019年12月の個人消費支出(季節調整済み)は、前月比0.3%増と安定的に伸びた。写真はニューヨークで2019年11月撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

[ワシントン 31日 ロイター] – 米商務省が31日発表した2019年12月の個人消費支出(季節調整済み)は、前月比0.3%増と安定的に伸びた。市場予想と一致した。ただ所得は緩慢な伸びだったことから、今年は個人消費が緩やかな伸びにとどまることを示唆した。

11月の個人消費支出は0.4%増だった。

MUFGの首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「2020年の成長に消費者の寄与は不可欠だが、消費者は今年は当てにしないでほしいと言っているようだ」と指摘した。

個人消費は米経済の3分の2以上を占める。

今回の統計は前日発表された19年第4・四半期国内総生産(GDP)に組み込まれた。個人消費は第4・四半期に年率で1.8%増と、好調に伸びた第3・四半期の3.2%増から鈍化した。第4・四半期GDPは2.1%増と、第3・四半期と同じペースで伸びた。

個人消費が鈍化する中、設備投資の低迷も悪化しており、20年は成長が鈍る可能性が高い。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が昨年に3回利下げしたことが景気を下支えしており、短期的に景気後退の恐れはなさそうだ。

FRBは29日、政策金利を据え置いた。パウエルFRB議長は記者会見で、米経済が「緩やかに伸び続ける」との見通しを示した一方で、中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大などのリスクがあることも認めた。

個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.3%上昇と、19年4月以来の大きな伸びだった。エネルギー製品とサービスが1.5%上昇し、全体水準を押し上げた。食品は横ばいだった。11月のPCE価格指数は0.1%上昇していた。12月の前年同月比は1.6%上昇。11月は1.4%上昇していた。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたPCEコア指数は前月比0.2%上昇。11月は0.1%上昇していた。12月の前年同月比は1.6%上昇と、11月の1.5%上昇から加速した。

PCEコアの前年同月比はFRBが物価の目安としている。19年は1月から12月までFRBの物価上昇率目標である2%を下回った。

12月のインフレ調整後の実質消費支出は0.1%増。11月は0.3%増だった。年末に減速したことから20年第1・四半期初めは個人消費が緩慢な伸びとなる可能性が高い。

個人所得は0.2%増。11月は0.4%増だった。12月は1年半続く米中貿易摩擦の打撃を受ける農家への補助金が減ったことを反映し、農場経営者の所得が362億ドル減少した。

賃金は0.3%増。11月は0.4%増加していた。所得の伸びが個人消費の伸びを下回ったことから、貯蓄は1兆2800億ドルと、11月の1兆3000億ドルから減った。

ナロフ・エコノミック・アドバイザーズの首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「所得の増加ペースは、控えめから緩やかな消費の伸びを支えるのにさえ十分ではない」と述べた。

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