「価格」と「品質」と「数量」の壁を乗り越える ユニクロの再生ポリエステル
企業のサステナビリティ活動の中でも、自社で扱う商品そのものをサステナブルなものに変えていく、ということは最も大きな課題だ。ファーストリテイリンググループの1年間の販売数量は、実に13億点(2021年度現在)に上る。そのうち、半分以上はTシャツやポロシャツといったカットソーである。ユニクロの商品本部グローバルMD(マーチャンダイジング)部部長を務め、主力商品であるカットソーを長年担当してきた小森田真也氏に、商品づくりにおけるサステナビリティへの取り組みとその難しさについて取材した。
「壁」を越えるために、色々な人と仕事する
ユニクロ商品本部 グローバルMD部部長 小森田真也氏(以下、小森田氏)は、学生のときに1999年のユニクロのフリースブームを見て、2001年に新卒入社した。店長を経験した後、自らの希望で2005年に本社に異動、2年間のニューヨーク赴任時代も含め、18年間、MD(マーチャンダイザー)一筋である。
マーチャンダイザーと言えば、「いつ、何を、どのくらい売る」という商売の根幹を組み立てる役割だが、小森田氏はそれにとどまらず、現在は社内外の様々な人・組織とプロジェクトを組んで新しい事業を構築していく、いわば旗振り役を務めている。
たとえば、2020年には、フリースの発売25周年を記念し、ニューヨークを拠点に活躍するファッションブランドEngineered Garmentsとのコラボレーションを発売した。また、グラフィックTシャツのブランド「UT」では常に国内外の多くのアーティストとコラボレーションしており、昨年2022年には、そのコラボ相手の一人である河村康輔氏を「UT」のクリエイティブディレクターに迎えた。
今年2023年には、やはり「UT」でコラボレーションしているアーティスト花井祐介氏と一緒に、街のごみを拾うイベント「スポGOMI」も行った。ユニクロのグローバルブランドアンバサダーである一流アスリートたちに提供するユニフォームの開発も、小森田氏の率いるチームで行っている。
「商品をもっと魅力的なものにしていこうとすると、どうしても色々な壁やボーダーにぶつかります。そこを超えていくためには、自分の部署や自分の会社の中でものを作っているだけではダメなんです。やはり社内でも社外でも、たくさんの方の力を借りながらでないと、そのボーダーを越えていくことはできないので、自然と色々な人と仕事するスタイルになっていきました」(小森田氏)
