商売成功の基本は、お客に話しかけ、お客の声を聞くことである理由とは

未来調達研究所:坂口孝則
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“OBI”で一軒家を建てた知人

 「オビで金持ちになったんだよ」

 高校時代の知人からこう聞いて、思わず「オ、オビ?」と聞き返してしまった。

 彼は卒業後、ふらふらとその日暮らしを続けていた。そのうち倒産したレコードショップから商品を買い取り、“二束三文”で販売する仕事を始めた。お客はDJか、懐古趣味のシニアしかいなかったという。

 しかしあるときから、外国人旅行者が来店するようになり、帯のついたレコードばかりを買っていくようになった。日本語なんて読めないはずだ。思い切って話しかけてみると、「他国では買えないコレクターズアイテムだ」という。レコードの帯は“OBI”という日本語由来の英単語にすらなっていたのだ。「このバンドのレコードが欲しい」と具体的にリクエストするお客も少なくない。そこで彼は仕入れのために日本中を回り、ネットで世界中に販売するようになり、いつしか一軒家を買っていたというわけだ。

 この話から学べることはさまざまあるが、私は彼が「お客から話を聞いた」という点が最重要だと思う。インターネットで売れ筋やサイト間の価格差を調べたわけではない。あくまで目の前のリアルな人間から話を聞いた。マーケティングやアンケートからはあぶりだせない“実態”を知ったのだ。

鮮魚売場にて客とコミュニケーションをとる店員
目の前のお客と直にコミュニケーションをとらなければ、本当のニーズはとらえられない(写真はイメージです)

インバウンドがカウンター席を嫌う理由

 筆者は以前、広告代理店との仕事で、インバウンド(訪日外国人客)から「実際の声」を集めた調査データを発表したことがある。

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