真逆の戦略で高成長維持するダイソーとセリア!100円ショップ進化のゆくえ
単機能化と効率化でセリアは「100円死守」
対してセリアは、「100円ショップらしさ」を貫く。大創産業をはじめ、競合他社が「脱100円」の動きを強めるなかで、100円という売価を死守する姿勢を見せている。

セリアの河合社長はこう言う。「競合他社が価格帯の幅を広げるなか、セリアではこれまでどおりすべての商品が100円で買える。それがお客さまに優先的にセリアを選んでいただくことにつながっている」。
とはいえ、原材料が高騰するなかで“100円据え置き”で利益を出すためには、抜本的なコストコントロールが欠かせない。
そこでセリアの武器となっているのが、長年力を入れてきたデジタル活用・データ分析による効率化の取り組みだ。たとえばPOSデータの収集と分析は20年以上前から行っており、勘と経験に頼らない精度の高い商品開発が行われている。さらに発注支援システムによって店頭での発注作業はほぼ自動化されているほか、店ごとの状況に応じた適切な人員配置やスケジュール管理についても自動で算出する仕組みを導入している。
一方でMD(商品政策)の面でも、安易な高付加価値化とは真逆の“単機能化”を追求し、商品の機能を絞り込んでシンプルに設計している。もちろん原材料コストの抑制というねらいもあるが、「100円ショップへのお客さまのニーズに対して、オーバースペックになる可能性がある」(河合社長)との考えが背景にある。
いわば100円ショップ本来の役割を、長引くインフレのなかでも提供し続けるために、デジタルを活用した業務効率化などの「仕組み」を強固にする。これがセリアの差別化策であり、競合に対する優位性と言える。
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