今なお世界有数の技術を持つ日本 それを破壊する小売業の構造問題とは

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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日本のメーカーや製造工場はいまなお、世界有数の技術を持っている。それを上手に活用すれば、日本の小売業は圧倒的な差別化が可能なはずなのに、それができていない。むしろその技術を破壊してしまっている。技術を使いこなせない小売業、その構造問題を明らかにしたい。

sorendls/istock
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繊維から陶器まで 何にでもプリントできる工場

 今年、私は二社の日本の工場を訪ね、素晴らしい技術に触れた。一つは、イメージ・マジックというプリント技術を持つ、世界のトップメゾンLVMHグループに認められた、日本の隠れた宝ともいえる工場だ。(社名:イメージ・マジック、https://originalprint.jp)。

  この工場が持つプリント技術は、繊維のような柔らかいものから陶器のような固形物に至るまで、あらゆる個体にプリントすることができるというものだ。それこそ、アパレル製品だけでなく、マグカップからシャープペンシル、そして、革製品に至るまでプリントが可能だ。

 そこに「セル方式」(一つの生産フローで製造が完結する手法)とマス・プロ(大量生産)を組み合わせた独自生産技術によってBtoBの大ロットオーダーから、消費者ニーズであるパーソナル・オーダーまで対応。コロナ不況の中でも国内工場を拡張し、現在は新工場を国内に建設中という、奇跡の工場だ。僭越にも、当時、パーソナルオーダー時代の到来をあちこちのメディアで書いていた私に白羽の矢が立ち、ご招待を受け工場をお邪魔し、その技術と戦略に腰を抜かしたのが今年の1月のことだ。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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