酒類宅配を積極展開、業務用市場でシェア50%をめざす=カクヤス 佐藤順一 社長

聞き手:下田健司
構成:田中 浩介
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M&Aを加速させて、「専門店街」をつくる

──業務用食品のカタログ通販を行うミクリード(東京都/片山礼子社長)を07年9月に買収しました。食品宅配の現状はいかがですか。

佐藤 業務用食品ならば、酒類と一緒に宅配すればすぐにでも物流面で効果が出るだろうと期待したのですが、実際はそれほど効果はありませんでした。

 酒類は常温で管理しますが、食品は冷凍、チルド、常温の3温度帯で管理する必要があるため、単純に統合することができません。また、食品はアイテム数が多いために、これまでよりも広い売場面積や物流センターの在庫スペースが必要となります。こうしたことからカクヤスとの物流統合ができませんでした。

 しかしながら、受注システムをカクヤスと統合することによって収益が大幅に改善されました。

──今後も酒類以外の企業のM&A(合併・買収)を推進していくのですか。

佐藤 そのつもりです。今考えているのは、専門店が扱う商品をわれわれのプラットフォームに乗せてお届けする「専門店街」をつくることです。

 すでに生花小売のリンクフローリスト(東京都/河野恵美社長)、オフィス用品販売のオフィス・デポ・ジャパン(東京都/野田智裕社長)をグループ企業に加えました。当社と統合することによって収益改善の可能性がある企業のM&Aを積極的に進めていきたいと考えています。

 その準備のため基幹システムに約30億円を投資して、グループ化した企業の受注システムをすぐに統合できるようにしました。これにより統合にかかる時間とコストを大幅に削減することができます。

 また当社は、16年1月にSKYグループホールディングス(東京都/佐藤順一社長)を持ち株会社とする体制に移行することで、M&Aなどの企業提携を推進しやすくします。

 M&Aだけでなく、新しい事業にもチャレンジしたいと考えています。一般のお客さまと、飲食店のお客さまをつなぐことです。具体的には、ある地域の飲食店の情報を、同地域の一般のお客さまにお知らせするといったマッチングサービスの提供です。当社は東京都内、約130万世帯の一般のお客さまに商品をお届けしています。業務用では、都内の飲食店10?11万軒のうち約4万5000軒と取引がありますので、これらを結び付けることができれば、飲食店にとっては大きなメリットになるでしょう。当社にしか提供できないサービスを実現し、さらなる差別化につなげていきたいと考えています。

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