アプリ、バーチャル接客、個客マーケティング・・・杉浦克典社長が明かす、スギ薬局のDX戦略とは

聞き手:小木田 泰弘 雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
構成:フリーランスライター:松岡由希子
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ドラッグストア(DgS)大手のスギホールディングス(愛知県/榊原栄一社長)が、デジタルトランスフォーメーション(DX)加速の姿勢を強めている。3月には中核事業会社のスギ薬局(同/杉浦克典社長)に「DX戦略本部」を新設し、同社の杉浦社長が兼務するかたちで本部長に就任。新型コロナウイルス(コロナ)禍で生活様式が変化し、店舗の在り方も変わっていくなか、接客、販促、業務効率化などさまざまな面でのデジタル活用を進めていく考えだ。2021年度にはスギHDの社長就任も発表されているスギ薬局の杉浦社長に、デジタル戦略の方向性を聞いた。

「DX戦略本部」を拠点にグループ全体のデジタル化加速

──スギ薬局では3月に「DX戦略本部」が新設され、杉浦社長が本部長を兼務されています。DX戦略本部設立の背景について教えてください。

スギ薬局代表取締役社長 スギホールディングス代表取締役副社長 杉浦 克典氏
すぎうら・かつのり●1978年生まれ。2006年、スギ薬局(現スギホールディングス)入社。11年、スギ薬局常務取締役。14年、スギスマイル代表取締役社長(現任)、17年、スギ薬局代表取締役社長(現任)、18年よりスギホールディングス代表取締役副社長。21年5月の取締役会以後、スギホールディングス代表取締役社長に就任予定。

杉浦 当社は、創業以来、お客さまとのアナログな接点を重視し、人材と商品と店舗を強みとして事業規模を拡大させてきました。デジタル技術の活用によって当社のアナログな強みをより際立たせ、お客さまによりよい価値を提供することが、当社のめざすデジタルトランスフォーメーション(DX)の方向性です。

 グループ内のDXをスピーディに推進するため、デジタル技術に対して感度が高い人材を集め、デジタル領域を一手に担う専門組織として「DX戦略本部」を新設しました。私が本部長を兼任するのは、グループが向かうべき方向性を明確に示すためです。デジタル技術を積極的に導入することで業務の効率化や生産性の向上を図るだけでなく、トータルヘルスケアを実現するビジネスモデルへの変革にもつなげていきます。

──DX戦略本部ではどのような組織体制のもと、どういった領域でのDXを担っていきますか。

杉浦 部署自体は専任者と兼任者で構成され、相応の規模になっています。近年、当社では優秀な人材を中途採用し、デジタル領域の人員体制は強化してきました。

 今後は、他社との提携やデータ活用に長けた取引先との協業などを通じて、外部リソースも積極的に活用していく方針です。今後は既存の情報システムや物流機能を管掌するほか、「スギ薬局アプリ」、「スギサポwalk(ウォーク)」、「スギサポeats(イーツ)」といったアプリの開発、ウェブサイトの改善、店舗でのデジタルサイネージの活用などを幅広く担当します。また、調剤、物販など、事業セグメント別のDXの推進にも関わっていきます。

──スギHDの中期経営計画(20~22年度)では、経営基盤強化に向けた「経営のDXの推進」を掲げています。そのなかでDX戦略本部はどのような役割を担いますか。

杉浦 スギHDとしても

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聞き手

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

聞き手

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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