絶好調アルペン、水野敦之社長の打ち手が示す、コロナ禍で浮上する企業と転落する企業の境目とは

2021/02/12 05:55
    油浅健一
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    さらなる業績向上へ向けた4つの強化ポイント

    好調を牽引するアルペンアウトドアーズ、21年には3月に港北ノースポートモール店とイオンモール浜松市野店の2店舗をア出店する
    好調を牽引するアルペンアウトドアーズ、21年には3月に港北ノースポートモール店とイオンモール浜松市野店の2店舗をア出店する

     来期(22年6月期)以降へ向け、さらなる業績の向上を目指す水野社長は、4つの強化ポイントを挙げる。1)アウトドア・ゴルフの強化、2)PBを含むスポーツアパレルの強化、 3)デジタルトランスフォーメーション(DX)のさらなる推進、4)サステナビリティ対応の強化だ。

     注目は、DXのさらなる推進。ひとつは、500万人を突破した会員データを活用したAI等による需要予測やVR・ARを活用した新しい体験の提供だ。これらは、引き続き予断を許さないコロナ禍におけるマーケティングを、次世代型に進化させる取り組みといえる。

     さらに物流拠点に3Dロボット倉庫システムを導入し、省人化を推進。また、発注や商品管理、人事システム等の社内システムを刷新し、業務効率化を一層推進する。こうした内外のDX施策は、非常時に強い体質への改善につながるものであり、ポストコロナを見据えても理にかなっている。

    コロナ禍で伸びる企業は何が違うのか

     攻めるところは攻め、捨てるところは捨てる――。同社躍進を端的に表現すれば、そういうことになる。言い古された成功の鉄則だが、これを徹底できるかできないか。コロナ禍だからこそ、こうした大胆さが伸びる企業と転落する企業の分岐点になるといっていいだろう。

     典型はアパレル業界だ。ユニクロやワークマンを筆頭にコロナ禍でも躍動する企業は、社会の変化を敏感にくみ取り柔軟にスピーディーに対応。攻めどころには躊躇なく投資する。一方、沈むアパレルは、自らのブランドに固執するがゆえに動きがもたつき、結果的に後手に回って失速する。

     アルペンでいえば、祖業はスキー。ところがいまや脱皮を果たし、その面影はほんのり程度で、スポーツ全般を扱うブランドとして浸透している。企業として何にこだわるのか。本質として、そこが問われているのが、コロナ禍における生存、そして成長戦略の肝といえるのかもしれない。

     同社躍進の裏側には、コロナ禍の経営で参考にすべきヒントが詰まっている。

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