PBと外食事業拡大へ!業務スーパーが好調の神戸物産の成長戦略とは

2024/01/26 05:15
下田健司
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「業務スーパー」を展開する神戸物産(兵庫県/沼田博和社長)の2023年10月期連結決算は売上高、営業利益とも過去最高を更新したが、為替予約関連の時価評価損が響き、経常減益となった。24年10月期から開始した3カ年の中期経営計画では、26年10月期に売上高5430億円、営業利益370億円を数値目標として掲げる。どのような成長戦略を描いているのか。

業務スーパーの外観
SPAモデルを志向する業務スーパー(撮影:阿部幸治)

好調な既存店が売上と営業利益の2ケタ成長に寄与

 業務スーパーは加工食品や冷凍食品を中心に低価格の大容量商品を揃え、フランチャイズチェーン(FC)方式で店舗を展開する。プライベートブランド(PB)比率が高いのが特徴で35%近い。

 神戸物産の202310月期連結業績は、売上高4615億円 (対前期比13.5%増)、営業利益307億円(10.4%増)、経常利益299億円(同6.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益205億円(1.3%減)だった。

 売上高、営業利益はいずれも過去最高を更新した。FC本部としての加盟店への卸売やロイヤリティなどが含まれる売上高は、新規出店と既存店への商品出荷が好調に推移した結果、2210月期から547億円増加した。既存店が好調だったことで売上高は会社計画を上振れて着地した。

 営業面では好調だったにもかかわらず経常減益となったのは、リスクヘッジのための為替予約で約40億円のデリバティブ評価損を計上したことが響いた。純利益についても同じ理由によるものだ。同社によると、為替予約で調達コストを10億円以上抑えたものの、急速な円安で評価損が膨らんだという。

 業務スーパーは、直営が4店舗のみで、ほかはすべてFC店だ。なお同社のFC契約形態には、直轄エリア内(北海道・関東・関西・九州)に出店する際に締結するFC契約と、直轄エリア以外の地域において業務スーパーのチェーン化を許諾するエリアライセンス契約の2つがある。2310月期の出退店は、新規出店53店舗、閉鎖12店舗の純増41店舗。総店舗数は1048店舗(2310月末現在)となった。1026日には関東最大級の店舗面積を誇る直営店「横浜いずみ店」も出店した。

 2410月期は主力の業務スーパー事業の拡大を計画しており、202410月期末における「業務スーパー」店舗数は1083店舗(純増35店舗)になる見通しだ。商品面では、自社グループ工場への設備投資の継続と、直輸入商品の取り扱い拡大で、業務スーパーの強みであるPBの充実を図るという。

 2410月期の連結業績の見通しは売上高4980億円、営業利益310億円、経常利益330億円、親会社株主に帰属する当期純利益215億円だ。2310月期の最終減益から一転し過去最高を更新する見通しだ。

 

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