「株主は地球」環境負荷を最小限にするパタゴニアの「スロー」なビジネス戦略の神髄

2023/04/26 05:55
堀尾大悟
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創業50年を迎え、循環型ビジネスに舵を切る

パタゴニア プロビジョンズ
食品コレクション「パタゴニア プロビジョンズ」

 そのパタゴニアは2023年、創業50年の大きな節目を迎えるにあたり「地球が私たちの唯一の株主」と宣言。創業者イヴォン・シュイナードとその家族が持つ全株式を、非営利の環境保護団体と、新たに設立したトラスト団体「Patagonia Purpose Trust」に寄付した。

 世界中を驚かせたその行動の背景には、50年をかけて構築してきた自身のビジネスモデルへの、痛烈な自己批判が含まれている。

 「これまで50年間営んできたビジネスモデルは、気候変動を主軸とする環境破壊を最小限に食い止めるうえで必ずしも十分でなかった。このままでは、私たちの『故郷である地球を救う』というミッションは達成できないのではないか、との危機感を強めている」(川上氏)

 その危機感から、パタゴニアが目下注力するアクションが、サーキュラー(循環型)ビジネスの推進だ。2025年までに石油を原料とするバージン繊維(ゼロから作る化学繊維)から脱却し、リリースする製品のすべてを再生可能な、またはリクレイムド(アップサイクル)な素材に転換すると発表した。

 その循環型のビジネスモデルを、近年ではアパレル以外の分野にも広げている。その一つが食品コレクション「パタゴニア プロビジョンズ」だ。

 国連食糧農業機関(FAO)によると、我々が現在の速度で土壌を劣化させつづけた場合、60年後には耕作可能な土壌がなくなってしまうという。そこでパタゴニアでは、土を掘り起こさず、肥料を使わずに栽培できる「リジェネラティブ・オーガニック農法」の普及に努めている。「プロビジョンズ」はその活動の一環として立ち上げたブランドで、多年生穀物「カーンザ」を使用したクラフトビールなどの食品を各ショップやECサイトを通じて販売している。

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