商品経営に徹して強力なDSと伍して戦える高質SMモデルをつくる=いちやまマート三科社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
構成:小木田 泰弘
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──総菜や半調理品でも「値ごろ」を打ち出しています。

三科 原材料や調理工程を工夫して、「おいしさ」と「値ごろ」「高値入れ率」の三拍子揃った商品を増やしています。

 たとえば、これまでトンカツはパン粉がついたものを仕入れて店内で揚げ、1枚249円で販売していましたが、原材料と調理工程を見直すことで今は199円まで売価を下げることができています。具体的には、豚ブロック肉を仕入れて精肉部門でカットし、総菜部門でパン粉をつけて調理するようにしたのです。値入れ率を変えなくても「値ごろ」な価格で販売でき、しかも以前よりも衣が「サクッ」とする「おいしい」トンカツになりました。

 また、唐揚げについても、今まではたれに漬けたものを仕入れていましたが、鶏肉を安く仕入れて自分達で一晩自家製のたれに漬け込むといったように原材料と調理工程を見直しました。そうすると製造原価はものすごく下がります。値入れ率を変えなくても安く販売できるのです。

 このように、トンカツや唐揚げを安く販売できれば、それらを活用したカツ丼や唐揚げ弁当の売価も低く設定できます。

──しかし逆に、パン粉付けや精肉のカットなど、これまでアウトソーシングしていた作業を自社で行うとなると人件費が増えませんか。

三科 作業は確かに増えますが、値入れ率を高く設定できている商品が売れれば吸収できるレベルです。作業改善を行って増えた分の人件費を吸収し、利益もしっかりと確保できています。

お客と従業員を啓蒙して「高質SM」を実現する

──最近、オーガニック(有機)商品にも力を入れ始めましたね。

三科 今期を「オーガニック元年」と位置づけ、12年3月からオーガニック野菜の取り扱いを本格的に開始しました。

 これまでは「オーガニック野菜は高いから売れないだろう」と躊躇していました。しかし、福島第一原子力発電所の放射性物質漏れの事故を受けて取り扱うことを決断しました。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

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