店舗にMDや売価設定の権限を移譲、個店経営で良質スーパーを追求=東武ストア宮内社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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商品、価格、サービスの良質化すすめる

──さて、売上高1000億円、経常利益30億円の達成をめざす「新中期経営計画“ATTACK 1000”」は来年度が最終年度になります。計画に修正はありますか。

宮内 既存店売上高が前年を割っており、多数の新規出店や大規模なM&A(合併・買収)を行わないと達成は現実的には厳しい状況です。12年2月期はすでに新店を3店舗オープン済みで、今後の出店予定は現時点ではありません。したがって売上高1000億円、経常利益30億円の達成は困難です。

 ただし、売上高対経常利益率3%の達成は不可能ではありません。3%達成の目標は継続しながら、売上高目標については13年2月期に入ってから見直したいと思います。1000億円にはこだわらず、利益率を重視する方向でいこうと考えています。

──今後の出店戦略や売場づくりの方向性について教えてください。

宮内 東京都や埼玉県、千葉県の1都2県に引き続き出店していく方針に変更はありません。

 当社が展開する店舗の標準サイズは売場面積300~350坪ほどです。

 そのほか、社内では「スーパーコンビニ」と呼んでいる100坪前後の駅前小型店舗が4店あります。今期中に店舗レイアウトやMDに大幅な変更を加え、都市型小型店の実験を行う予定です。具体的には、小容量、使い切りパック、個食サイズ、即食性の高い商品を取り揃え、利便性を高めた“コンビニ使い”型の売場にする方針です。

 当社の店舗は駅前立地が多く、賃料は他のSM企業に比べて高めです。競合店に低価格で勝負を挑むことは得策とは言えません。したがって、エブリデイ・ロー・プライス(EDLP)ではなく、ハイ&ローの特売で売場に変化を出していきます。

 当社が進むべき方向は、「商品の良質化」、「価格の良質化」、「サービスの良質化」に磨きをかけ、「良質スーパー」を追求することです。それには教育が最も重要なポイントになります。「ホスピタリティ研修」を始め、階層別教育を着実に実施していきます。

 今後も地域のお客さまに愛される「良質スーパー」をめざします。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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