期限再延長へ……オイシックスのシダックスTOB、ついに決着?

棚橋 慶次
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創業家とシダックス取締役会が対立、参戦表明のコロワイドは撤退

 ところが、オイシックスの買収は目論見通りには進まなかった。

 8月29日にオイシックス側がTOBを公表したのに対し、シダックス取締役会は1週間後に反対表明をリリースし、対決姿勢を鮮明にした。反対を決めた取締役会には6名中3名が参加していない。その3名とは、創業家の志太勤氏に、志太勤一氏、そして大株主ユニゾン・キャピタルから出向している川﨑達生氏だ。いずれもTOBに絡んだ利害関係者ということで、メンバーから外れている。

 シダックスの株主構成は、ファミリーオフィス「志太ホールディングス」を中心とした創業家が33%、ユニゾンが27%を握っている。ユニゾンは19年にシダックスが経営危機に陥った際、同社に出資したのだ。いずれにせよ両者の持ち分を合わせれば6割を超える。TOBをしかけなくても、創業家とユニゾンと相対で取引すればオイシックスは経営権を手に入れられるはずだった。「TOBは売却価格を吊り上げたいユニゾンサイドからの要請によるものでは……」業界からはそんな憶測も聞こえてくる。

 もう1人、この買収劇には役者がいた。シダックスに対しては、以前より外食大手のコロワイドがフード事業の業務提携を持ちかけていたのだ。結果的に、コロワイドは今回の騒動で“悪者”になるのを躊躇したのか、「混乱を招く」として買収提案を撤回している。

 頼みの綱のコロワイドが降りたことで、いったんは収束に向かうものと期待する向きもあったが、シダックス取締役会は依然としてオイシックスに対してファイティングポーズを続けている。

 一方、シダックス社内も“反オイシックス”でまとまっているわけではない。オイシックス側は、シダックス事業子会社代表者から「(オイシックスとの)協業に賛同する」という旨の書簡が届いていることを9月6日に公表している。シダックス内部も意見は一本化されていないようだ。

 ちなみにユニゾンとシダックスの出資契約には、「コール・オプション」が組まれている。「ユニゾンが株を売却するときは、創業家が売却先を指定できる」とするものだ。つまり、ユニゾンは創業家の意向に従い、最終的にはオイシックスに持ち株を売却しなければいけないわけで、いつまでも躊躇はできない。

 10月5日、オイシックスは「シダックス社及び創業家と実施している協議について、10月7日を目途に合意が成立する見通しとなった」として、公開買付期限を10月5日から10月20日に延長するというリリースを公表している。以降は、「合意形成を行った上で、再度ユニゾンファンドに本公開買付けに応募頂けるよう依頼をしたい」(オイシックスのリリースより)という。1カ月以上におよんだ買収劇は決着するか。直近で発表されるであろう、シダックス取締役会の意見表明に注目したい。

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