食品卸売上トップから「断トツの食品総合卸企業」へ! 日本アクセスの新中計が始動

崔順踊(リテールライター)
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中計で推進する9つの重点施策とは

 中期経営計画では、具体的に9つの重点施策を掲げている。②フルライン卸戦略の実行、③チルドプラットフォームの構築、④海外事業のビジネスモデル構築、⑤Eコマースビジネスの取組拡大、⑥フローズンマザーセンター構築への取組強化、⑦物流拠点整備計画の実行、⑧DX推進、⑨SDGsへの貢献・取組強化、

 順に見ていくと、1つ目の商品開発強化への取組みでは、マーケットインの発想で取引先、お得意さま、同社の3者がオールアクセスとなり、オリジナル商品や留型商品の開発を強化していく。

 2つ目のフルライン卸戦略の実行では、グループ会社との連携による菓子流通戦略の実施、酒類卸との協業も視野に入れた酒類の全国供給体制構築、機能包材や環境対応製品の販売による差別化戦略などを実施する。

 3つ目のチルドプラットフォームの構築では、チルド専用サイト「チルプラ」の活用や既存の全国チルド幹線便機能を進化させ川上物流を含むチルド物流インフラ整備をするなど商物融合の包括的な付加価値・サービスの提供をめざす。

 4つ目は海外事業のビジネスモデル構築。中国の外食市場に向け、現地パートナーとの協業や日系外食企業の中国進出における店舗展開支援などを行い、外食向けサプライチェーンモデル構築をめざす。

360億円をITインフラに投資!

 5つ目はEコマースビジネスの取組拡大で、フローズンの倉出し機能を活用した冷凍宅配事業構築に向け、首都圏を中心にFS(フィージビリティスタディ:事業可能性の検証)を開始する予定である。また、バラ出荷やアソート品の配送体制と専用システムを構築し、卸センターと在庫共有を行うドロップシップ機能を確立。今後拡大をしていく。

 6つ目はフローズンマザーセンター構築への取組強化。業界全体で一貫したパレチゼーション導入をめざし、パレットの標準化やレンタルパレットの共有を推進していく。今年度は近畿、23年度は中部・東北、24年度は九州にフローズンマザーセンターを順次稼働させる。

 7つ目の物流拠点整備計画の実行については、全体最適の効率的な拠点構築をするため3か年で20カ所の物流拠点を集約、360億円のITインフラ投資を実施する。

 8つ目のDX推進では、デジタルマーケティングなどの「攻め」とAI自動発注やITセキュリティリスクの対応強化など「守り」のDXによって経営基盤改革と業務プロセス改革を両軸で推進する。

 9つ目のSDGsへの貢献・取組強化については、フードロスの削減、食品事故発生の撲滅、フードバンクや食育活動の支援など、本業を通じた社会的課題解決を行っていく。

 これら事業戦略を実行することで、24年3月期の業績予想では売上高2兆2000億円、経常利益249億円、当期純利益167億円を計画している。また、中計最終年度である26年3月期(24年度)には売上高2兆4203億円、経常利益278億円、当期純利益189億円を見込む。

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