2期連続赤字で窮地のはるやまHD、業績回復の道筋は?

棚橋 慶次
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粗利率改善と販管費圧縮で黒字転換へ

 2023年3月期の業績予想では、売上高が対前期比0.5%減/前期から2億円減の365億円、営業利益4億円、当期純利益2億円を計画するはるやまホールディングス。販売が低迷する中で、収益面では黒字転換をめざす考えだ。

 具体的には、粗利益率の改善と販管費のさらなる圧縮で収益性改善を図る。売上予測の精度向上などにより売れ残り在庫の圧縮とセール抑制につなげ、粗利益率を改善。販管費の圧縮では、店舗数の減少効果で店舗家賃を9億円、人件費を4.5億円抑制すると同時に、広告宣伝費(9億円)やその他販管費(2億円)にも手をつける。

 創業以来初の2期連続の赤字決算に陥り、さらに無配に転落したはるやまホールディングス。株主をはじめとするステークホルダーの信頼を取り戻すため、はるやまは4つの戦略課題の推進を掲げている。

①健康ソリューション企業の進化では、カフェ・健康食品のサブスクや体組成計によるスーツサイズ合わせなどの展開でビジネスパーソンの健康をサポートする、としている。

②店舗と本部組織のスリム化では、店舗運営効率の向上・本部要員の店舗配置・人員の圧縮をすすめる。

③商品魅力化プロジェクトでは、さまざまなアイテムごとに健康(機能性・デザイン・マテリアル)、新しさの追求、機能拡充と使用シーンの拡大といったコンセプトを軸に、顧客との関係性深化とすそ野拡大をめざす。

④資産の有効活用では、既存店舗や一部閉鎖店舗のリースにより収益化を図る。

 これらの戦略を俯瞰すると、①④に関しては具体的だが、②③については取り組み内容が漠然としており、はるやまホールディングスの強み生かせるビジョンも見えてこない。このままだと、この先ずっと縮小均衡が続くことにもなりかねない。

お家騒動が業績回復の足かせに?

 中長期的な需要減少トレンドに見舞われ、近年スーツ量販店各社は業績が伸び悩んでいる。そこにコロナ禍が直撃し、上場大手各社は巨額赤字に陥った

 それでも、AOKIホールディングスや青山商事といった同業の競合は22年3月期に黒字転換を果たしている。一方ではるやまホールディングスは2年連続の赤字決算となり、当期純損失については前期より膨らんでしまった。

 余談にはなるが、はるやまホールディングスは先日、株主総会で会社側の取締役選任案に対し、現会長の実姉が反対意思を表明、独自案を提出したと報じられた。創業家内の対立は、これで3年連続となる。グループ内のガバナンス不全は、業績回復や組織結束の足かせとなりそうだ。

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