イオンとセブン&アイ、両社増収増益も中身は…22年2月期決算を分析!

松岡 由希子 (フリーランスライター)、湯浅 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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国内小売業界2強のイオン(千葉県/吉田昭夫社長)とセブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)の2022年2月期本決算が発表された。コロナ禍1年目の21年2月期はそれぞれ最終赤字、2ケタの減益だったのに対し、今回は両社とも増収増益。中期経営計画で掲げた戦略についても、一定の成果が見え始めている。

イオン
ヘルス&ウエルネス事業初の1兆円突破

 イオンの2022年2月期の連結決算は、営業収益が対前期比1.3%増の8兆7159億円、営業利益が同15.8 % 増の1743億円、経常利益が同20.4%増の1670億円、当期純利益が65億円(前期は710億円の当期純損失)と増収増益を果たした。吉田昭夫社長は「営業利益、経常利益ともに昨年度予想した数字(営業利益2000億~2200億円、経常利益1900億~2100億円)には届かなかったため、『よかった』とは言えない。しかし、まん延防止措置が繰り返された厳しい環境の中で、巻き返すことができたのではないか」と振り返る。

イオンのロゴ
ウエルシアホールディングス(東京都/松本忠久社長:以下、ウエルシアHD)を中心とする「ヘルス&ウエルネス事業」が大幅に業績を伸ばした。写真は千葉市で2016年11月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 セグメント別の業績を見ると、ウエルシアホールディングス(東京都/松本忠久社長:以下、ウエルシアHD)を中心とする「ヘルス&ウエルネス事業」が大幅に業績を伸ばしたほか、前年度に緊急事態宣言発令を受けて一時休業等を迫られた「ディベロッパー事業」「サービス・専門店事業」の売上が回復した。コロナ禍の食品特需を享受した食品スーパー(SM)も20年2月期と比較すると好調だった。一方、総合スーパー(GMS)は非食品分野の低調があり赤字となった。「国際事業」も、展開各国でのロックダウンの影響により業績が落ち込んだ。

 それぞれを詳しく見ていくと、「SM事業」の営業収益は同1.1%減の2兆5206億円、営業利益は同26.7%減の305億円。前年度の食品特需からの反動影響はあったが、

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記事執筆者

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

記事執筆者

湯浅 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1996年生まれ。シンガポール出身。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部卒業後、経済メディアで記者職に就く。フリーライターを経て、2021年12月ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。大学在学中に1年間のアメリカ・アリゾナ州立大学への留学を経験。好きな総菜はローストビーフ、趣味は練馬区を散歩すること。

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