スイーツジャーナリストが教える、22年の注目スイーツとスーパーマーケットならではの売場提案とは

スイーツジャーナリスト 平岩理緒
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ヒットするスイーツの条件と、これから注目のスイーツは?

 最近は、SNSでの発信に積極的な小売企業が多い。コンビニとスーパーマーケットそれぞれの大手数社のInstagramアカウントを見ると、コンビニのフォロワー数が数十万人である一方で、スーパーマーケットは数万人。1桁違う。コンビニでは圧倒的に新作スイーツの投稿が目立ち、おすすめポイントや構成の説明など情報が凝縮され、画像だけで伝わるものが多い。スーパーマーケットは、総菜系の投稿が多いのは当然としても、「一目で伝わる」感が薄い。スーパーマーケットの中でもフォロワー数が21万7000人(22年1月現在)に達する「成城石井」のアカウントは、他に比べてスイーツの投稿が明らかに多く、同社がスイーツに力を入れていることが見て取れる。

 「商品」とは、売り方や伝え方まで含めたコミュニケーションツールである。店員が自らのおすすめを熱く語るPOPが話題となった本屋のように、スーパーマーケットでも、「このスイーツがすごい」という店員の推しコメントに心動かされるという買い方が出来たら面白いし、利用客の投票による棚落ちスイーツの「復活戦」があれば参加したくなる。

スイーツ業界も「サステナブル」「SDGs」がトレンド。色素もプラントベースにこだわった商品が登場している(画像:筆者撮影)

 スイーツ業界では、「見たことも聞いたこともない新しい品」ではなく、既知のカテゴリーやジャンル同士の掛け合わせや、少しだけ変化させたものが支持されやすい。たとえば、私が21年後半期、気になった専門店のスイーツの一例は、「ナポレオンパイ」と称される苺のミルフィーユ。スイーツ好きには知られた品だが、単なる復刻ではない。そのスイーツの定義や原点を突き詰めたうえで、現代のニーズに合わせたアレンジ品が登場している。

 さらに、今後注目度が高いのは、植物性の天然色素を使った「カラフルでSNS映えもしてナチュラル」なスイーツ。また、コロナ禍で顕在化した「冷凍スイーツ」の利便性や可能性も面白い。コンビニも家にストックできる冷凍スイーツに力を入れており、冷凍・半解凍・全解凍・レンジ加熱などで食感の変化を楽しめるような品が増えるだろう。いずれも、スーパーマーケットの顧客層のライフスタイルや価値観にも合致するカテゴリーでもある。

 人気のスイーツというのは、本来ブームを追うものではなく、顧客と共に育てていくものだ。利用者の気持ちや生活に寄り添った品を提案しながら、自店のスイーツのファンを育ててほしい。

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