21年度は1兆5000億円突破か、工場潜入でSheinの実態を暴く!
そのように考えると、Sheinの本質が見えてくる。同社は、SDGsに反するファストファッションではなく、先進国が残したゴミの有効活用をしている、極めてSDGsに即したビジネスを展開しているのだ。言い換えれば、Sheinは、日本の「オフプライスストア」と同様の必要悪な存在であり、日本企業のだらしなさを逆手にとったブランド毀損の悪魔の業態だ。
つまり「世界のファストファッションの新たな王*」などと欧米メディアで喧伝されているSheinをSheinたらしめているのは、日本を中心とする先進国のアパレル企業の存在なのである。*本質はファストファッションではない、メディアの誤解である
あえて、リアルだけでまずは攻める!
Tokyo Base驚愕の中国戦略
最後に、「詰まれた」と断じた、中国のライブコマースに対し、反撃に転じたTokyo Baseの驚愕の戦略を紹介しよう。既に述べたように、中国のECはもはやアリババグループのTaobao(淘宝)一択で、世界的知名度のない日本のアパレル企業に選択の余地はない。しかし、Tokyo Baseは全く異なる戦略で、中国で業績を上げているのだ。ご存じの通り、Tokyo Baseは日本でのEC化率は40%を超えているが、中国ではあえてリアル店舗だけの展開で攻めていった。
日本のアパレルは短絡的にものごとを捉え、中国に進出するためにはTaobaoプラットフォームに入ることは仕方ないと考える。その結果、米国で数多くのアパレルを死滅に追いやった「悪魔との契約」(Death by Amazon)の餌食になってゆく。
しかし、Tokyo Baseは同じ轍は踏まない。まだ日本ブランドが通用するいまだからこそ、Made in Japanのブランドをリアル店舗だけでじっとアピールし続けた。Taobaoプラットフォームには、様々な条件を有利に運べる「シックススターズ」という称号があるのだが、これをもらい、Taobaoから「ウチにはいって欲しい」と依頼されるまで、じっと耐えていたのである。出店条件を有利に運ぶ「逆戦略」で、すでに詰まれたライブコマースの下をかいくぐり世界化に道筋をつくったのである。
いずれにせよ、ここまでの情報を分析すれば、もはや世界化は待ったなし、日本市場の未来がないことは明らかだ。これだけ変化の大きな時代だ。今から10年の戦略を描くため、私たちは正しい情報や分析をする必要がある。もはや自ら工夫し、答えを出し、今すぐにでも世界化に挑まなければ日本のアパレル産業は取り返しの付かない状況に陥るだろう。
プロフィール
河合 拓(経営コンサルタント)
ビジネスモデル改革、ブランド再生、DXなどから企業買収、
デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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