オススメの一冊、『小売DX大全 オムニチャネルの実践と理論』

ダイヤモンド・ドラッグストア編集部
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『小売DX大全 オムニチャネルの実践と理論』
『小売DX大全 オムニチャネルの実践と理論』
逸見光次郎、中見真也=編著、日本オムニチャネル協会=監修
(日経BP刊/2200円〈本体価格〉)

  コロナ禍では、あらゆる業界においてデジタルトランスフォーメーション(DX)への動きがますます活発化しつつある。小売業もその例外ではない。しかし、日本の小売業はほかの業界と比べてもDXが遅れているのが現状である。DXに関連して、リアル店舗やECなどすべてのチャネルがシームレスに連携して顧客と相互につながり、顧客体験を向上させるオムニチャネルの実践も、これからの小売業にとっては必要不可欠だ。本書は、小売業のDX・オムニチャネルについての理論や実例をまとめた解説書である。

 本書は6章構成で、「DX・オムニチャネルとは何か」という基本的な定義をはじめ、業態別の最新動向、オムニチャネルにおける商品や売場、販促などの考え方、DXを成功させるための組織変革やマインドの変え方など、小売業がDXを実践するうえで必要なことが網羅されている。

 第3章第6節「オムニチャネル時代の『管理』」では、社内でDX・オムニチャネルを推進する際の組織体制の構築について解説している。全社横断でDX推進チームを立ち上げる際、マーケティングや販売、デジタルに関わる部門が中心となる一方、あまり見かけないのが管理部門だ。DXと関係が薄いと軽視されがちだが、総務や人事、財務など全社横断に関わる役割を持っている管理部門がDXに関わらなければ、それが大きなボトルネックになると著者は主張する。日々の業務で競合との激しい競争に直面し危機感を持っている現場部門と異なり、管理部門はそうした急激なビジネスの変化を感じにくい傾向にある。そのため、管理部門は現場部門から取り残されやすく、DXの抵抗勢力になることすらあるという。

 管理部門がこのような事態に陥らないようにするための方法の1つとして著者が提示するのが、管理部門自体のデジタル化だ。電子契約をはじめ、自部門のデジタルシフトを進めることで、業務整理やシステム開発、社内調整などの経験が、現場部門のDX推進に必要なスキルを育むことになると著者は主張する。

 本書には、小売業のDXにおいて重要なポイントや知見が多く紹介されている。小売業でDXに取り組むすべての人に有用な情報を与えてくれるだろう。

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