堀口珈琲にみる、企業規模が拡大しても店がコモディティ化しない秘訣とは

2022/01/10 05:55
久保佳那
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2度にわたるリブランディングに込めた思いは

私たちの生活に欠かせないコーヒーだが、今「若者のコーヒー離れ」が進んでいると言われている。堀口珈琲が誕生した頃とは喫茶事情も異なる。そうした中、2013年、最初のリブランディングが行われた。”同社の価値”をより多くの人に、わかりやすく、伝える必要があると考えたからだ。

2021年、若林氏が代表取締役に就任後、さらに時流にあった変化、修正を遂げながら、より深く「堀口珈琲」を理解してもらいたいと、再度リブランディングが行われた。具体的には、深煎り豆のコーヒーの良さを残しつつ、新たな要素を加えてブレンドをリニューアル。それに伴い、ブレンドのパンフレットを刷新し、ブランドサイトやオンラインストアも改良した。

堀口珈琲は、決して若い世代をターゲットにしているわけではない。ただ、若い世代への興味を惹きつけるために、ブランドサイトやパンフレットのデザインを刷新したり、SNSやオウンドメディアの発信を強化するなど、未来へ繋がる投資は惜しみなく行っているのだ。商品紹介のリーフレットは、若林氏自らが執筆を担当、堀口珈琲の豆の特徴をイメージしやすい言葉で綴った。

さらに、若林氏の社長就任による変化は、会社組織にも及んだ。生豆の調達や焙煎・ブレンドを行う「作るチーム」と、パッケージの企画や販売、ECなど「伝えるチーム」を確立。双方向でコミュニケーションをとることで、より質の高い商品開発を行い、わかりやすく消費者に伝える流れが実現したのだ。

若林氏は、「接客こそ重要ポイントだ」という。多くのスタッフは、一度は、店舗での接客を経験するという。対面の接客を経験することで、たとえばEC担当になったとき、何を消費者に伝えるべきかを理解できる。焙煎を担当すれば、自分が接客時にお客様に伝えたかった情報を、焙煎担当者として社内関係者に伝えられると考えているからだ。

若林恭史氏
近年、2度にわたるリブランディングでECを中心に右肩上がりに売上が伸びていると話す若林氏

最後に、今後の展望を若林氏に尋ねたところ、「コーヒー業界は難しい状況に置かれている」という話が飛び出してきた。「生豆の相場がこれまでの倍以上に高騰しています。特に業界大手の提供するコーヒーは、これまでの品質で飲み続けられなくなる可能性もあります」原料の高騰を価格に反映できなければ、コーヒーの品質が落ちてしまう可能性もあるのだという。

「これまでコーヒーの価格は低位安定していましたが、今後は品質によって価格のレンジが広がっていくことも考えられます」と語りながら、若林氏はこう続ける。「私がこの仕事をしているのも、自分がおいしいコーヒーを飲みたいという想いがスタートでした。今後もおいしいコーヒーを提供し続けるにはどうしたらいいか。それを考え実行していくことが私たちのチャレンジだと考えています」

堀口珈琲は2022年、創業から32周年を迎える。若林氏が3代目の社長だが、過去に社長を務めた創業者の堀口氏、2代目の伊藤氏は現在も経営陣として在籍しており、それぞれに役割を果たしている。また創業者の堀口氏は、現在もコーヒー豆の研究を続けており、コーヒーへのこだわりや魅力を、世代を超えて伝えることに成功したと言えるだろう。現在は、若い世代のメンバーも多く、お互いを認め合うチーム力が、若林氏を中心に堀口珈琲を支えている。今後も先鋭化し続けるパイオニアとしてコーヒー業界の中核を担い続けていくことだろう。

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