スポーツイヤーだ

2014/02/03 08:00
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  2014年は、4日後の2月7日からロシアのソチで冬季五輪が、6月12日からブラジルでFIFAワールドカップが開催される。まさにスポーツイヤーである。

 

 冬季五輪と言って、すぐに思い出されるのは、1972年の札幌五輪だ。小学生のときに、教室のTVで観せてもらった。

 中でも、強く印象に残っているのは、笠谷幸生選手が金メダル、金野昭次選手が銀メダル、青地清二選手が銅メダルを獲得した「スキージャンプ競技の70m級」だ。“日の丸飛行隊”として、日本の3選手が表彰台を独占したことは、今もって語り草になっている。

 

 これがどのくらい凄いのかと言えば、冬季五輪の日本の金メダル獲得は笠谷選手が初めてだったこと。その後の金メダルは、1992年のアルベールビル五輪の「スキーノルディック複合団体」で三ヶ田礼一選手、河野孝典選手、荻原健司選手の3人が獲得するまで実に20年間を待たなければならないことだ。

 しかも個人種目に限って言えば、再び日本で開催された長野五輪(1998年)で、清水宏保選手(スピードスケート男子500m)、里谷多英選手(フリースタイルスキー女子モーグル)、船木和喜選手(スキージャンプラージヒル)、西谷岳文選手(ショートトラックスピードスケート男子500m)の4人が獲得するまで1個も取れなかった。その間、26年だ。

 

 これらの事実から何が導き出せるかと言えば、ホーム(=地元開催)の有利性である。

 ボクシングの世界には、「ホームタウン・デシジョン」という言葉があるが、大抵のスポーツには、ホームの有利性が働くものだ。

 

 ホームの有利性は、サッカーのワールドカップも同じだ。

 2002年に日韓共同開催で行われた大会において、日本はベスト16、韓国はベスト4入りを果たし、大健闘だった。

 歴史を紐解けば、ホームチームの躍進ぶりは強烈であり、第1回のウルグアイを筆頭に19大会中6回は開催国が優勝している。また、2010年の南アフリカ大会前までは、「開催国はグループリーグを必ず突破する」というジンクスがあったほどだ。

 

 ホームの有利性ということで、もうひとつ思い出しておきたいのは、テニスの伊達公子選手の例だ。

 1996年に東京・有明コロシアムで開かれた女子国別対抗戦・フェドカップでは、無敵の女王シュテフィ・グラフ(当時のWTPランキング1位)を7‐6、3‐6、12‐10で破る大金星を挙げた。スタンドにはハチマキ姿で大きな旗を振り、一心不乱に応援していた松岡修造さんの姿があった。

 

 いずれの場合も、食事を含む生活環境、土地や会場などの地の利、そして熱狂的な応援がスポーツ選手に与える影響の大きさを示している。

 

 ただ、そうは言うものの、近年は、ホームやアウエー(=敵地開催)を気にしないタフな選手も日本にも続々と登場していることも事実だ。

 ノルディックスキー女子ジャンプの高梨沙羅選手やACミランの本田圭佑選手、インテルナツィオナーレ・ミラノの長友佑都選手…。“ネクスト タイガー”のひとりに数えられるゴルフの松山英樹選手、そして昨日はローザンヌ国際バレエコンクールで二山治雄さん(17)、前田紗江さん(15)の高校生2人がワンツーフィニッシュを決めた。

 

 ホームの有利性は動かぬ事実ではあるけれども、そんなタフな選手の出現を期待しながら、ソチとブラジルでの選手たちの奮闘を静かに観戦したい。

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