相関係数とは?相関係数を知ることで何がわかる?Excelを使った計算方法から、実例まで解説!

読み方:そうかんけいすう
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相関係数とは

相関係数とは、二つの変数の関係性の強さを示す数値である。変数とはたとえば人の体温や身長、体重、気温や株価など、刻々と変化する様々な数値のことである。特定の二つの変数の関係性の強さを表す場合に相関係数が用いられ、相関係数を導き出す手法が相関分析である。

相関性イメージ
相関係数とは、二つの変数の関係性の強さを示す数値である。 i-stock/NicoElNino

相関分析には間隔尺度・比率尺度のデータの相関係数を求めるピアソンの積率相関分析、順序尺度のデータの相関係数を求めるスピアマンの順位相関分析の2つがある。一般に相関係数と言えば、ピアソンの積率相関係数を指す。ここでは、ピアソンの積率相関係数について解説をする。

相関の形

相関の形は、大きく分けると「正の相関」、「負の相関」、「無相関」の3種類である。「正の相関」では片方の数値の増加もしくは減少に合わせ、もう片方の値も同様な変化を示す。「負の相関」では片方の数値の増加に対して減少、片方の数値の減少に対して増加という反対の変化を示す。「無相関」では、片方の数値の増加もしくは減少に対して、ランダムな変化を示す。

相関係数の見方

計算で得られた相関係数(r)は、‐1.0から1.0の範囲で表される。記号で表すと「-1≦r≦1」である(相関係数に「‐」が付く場合は負の相関となる)。

相関係数「0」は相関性が見られない、同「0<r≦0.2」はほとんど相関性が見られない、「0.2<r≦0.4」は低い正の相関性が見られる、「0.4<r≦0.7」は相関性が見られる、「0.7<r<1.0」は高い相関が見られる、「1.0 または--1.0」は完全な相関をそれぞれ意味する。

相関係数に関連する用語

① 散布図
散布図とは、それぞれの変数が示す数値を縦軸と横軸に合わせてプロットしたグラフである。変数の相関性の傾向を概観するために使う。散布図は、Excelにデータを入力するだけで簡単に作成できる。

②間隔尺度と比率尺度
間隔尺度や比率尺度とは、スティーブンスが提唱した尺度水準の概念である。間隔尺度で表されているものに、任意の起点から始まる西暦や偏差値、温度(摂氏)などがある。一方、比率尺度で表されるものには、0から始まる重さ、長さ、年齢などがある。

相関係数の計算方法とExcelの使い方

相関係数(r)を導く数式の構成は次の通り。

相関係数(r)を導く数式の構成

相関分析の対象とするX、Y二つのデータの標準偏差を分母として、分子となる共分散を計算して相関係数を算出する。

実際の計算はExcelで簡単に行うことができる。シートに入力した変数のデータをドラッグし、関数からCORRELを選択、クリックすると相関係数が表示される。また相関を見るデータが三つ以上の場合には、Excelの「ホーム」、「アドイン」、「分析ツール」の順で選択して行くと計算画面を開くことができ、データを入力すると簡便に相関係数の計算ができる。

相関係数を利用するメリット

メリットのイメージ
相関係数を利用するメリットは、変数間の関係の強さを定量的に判断できる点である。

相関係数を利用するメリットは、変数間の関係の強さを定量的に判断できる点である。定量的に判断することで、直観や思い込みで意思決定をして判断を誤るというリスクを回避できる。

変数をプロットした散布図の形を見ることで、数値の関係性の傾向を読み取れる。しかし定量的に数値化した関係性は判定できず、相関係数を利用することで客観的な判断が可能となる。

相関係数の利用におけるデメリット

相関係数は、変数Xと変数Yの間の数値変化の関係を客観的に表しているが、Xの数値変化がYの数値変化を生み出したのか、その逆の現象なのかは定かではない。数値変化の因果関係を知るためには、それぞれの変数を規定する条件などにより、別の観点からの客観的検証が必要である。

また散布図では相関性が高そうに見えても、グラフの姿が曲線を描く場合には計算結果が低くなることがある。相関分析は、直線を描くグラフにしか対応できないという点にも注意が必要である。相関分析による客観的な意思決定のつもりでも、これらの注意点を見過ごすと判断を誤るというデメリットをもたらすことがある。

相関係数を応用する実例

相関係数は、大気中の二酸化炭素濃度と海面温度の関係などで見る自然環境、景気指数と失業率の関係などから見る経済環境、その他にも健康、生活環境などの様々な場面で、現状を把握するための手段のひとつとして利用されている。ここでは経済に関連する資産運用での相関係数の利用例を紹介する。

資産運用の世界では、相関係数は株式の銘柄間や投資信託間の値動きの関連性を表す指標として使われている。また株価だけでなく、国内外の債券を含めた投資商品の相関係数も公表されている。相関係数がプラスの投資商品を組み合わせるだけでは想定外のリスク、値下がりに対応できない。相関係数がマイナスの投資商品も組み合わせ、投資先を分散させることでリスクを回避するのが一般的である。その投資銘柄の組み合わせを検討する時などに、相関係数が利用されている。

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