ニトリの成功にみる オウンドメディアに求められるコンテンツとは

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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有効なオウンドメディアのコンテンツとは

 ハイブランドが展開するような洗練されたビジュアルやモデルの写真がある投稿は魅力的ですが、消費者が買いたいと感じたり、SNSに投稿したくなったりするようなコンテンツとは異なります。そこでアーンドメディアでの展開が期待できるオウンドメディアで有効なコンテンツのタイプをいくつかご紹介しましょう。

図表3有効なオウンドメディアのコンテンツ
図表3有効なオウンドメディアのコンテンツ

商品コンテンツ

まずは、当たり前のようですが、販売している商品に焦点を当てたコンテンツを作成します。その際、派手な煽り文句や特典を押し出すのではなく、商品の特徴や使い方、優れた点を誠実に分かりやすく伝えることが重要です。

ただし、単に商品やサービスの情報だけを配信する形では消費者には響かず、興味を引くことはできません。消費者が商品をどのように使い、どこに価値を感じるのかを伝えるストーリー性や実用性のある企画が必要になります。

例えば、家具や大型商品の場合、組み立てや使用方法、実際の使い勝手などは非常に重要なポイントです。開封や組み立ての様子を実際に映像で伝えることで、消費者が商品を手に取る前から商品への共感や信頼感を得ることができます。結果、商品の魅力や利用価値がより具体的に伝わり、購買への誘導がしやすくなります。

企画コンテンツ

季節や特定のテーマに基づいた企画を紹介するコンテンツです。消費者のニーズに合わせた提案やアイディアを提供し、商品の利用価値や魅力を訴求します。

また、新商品や人気商品を効果的に配信することも重要です。小売業は多くの商品を扱っており、消費者が全ての商品を目にすることは難しいため、ここでオウンドメディアが役に立ちます。新商品や人気商品を取り上げ、その特長や魅力をわかりやすく伝えることで、消費者の関心を引き、購買へのアクションを促進することができます。

店舗コンテンツ

店舗内での情報や商品の配置、店内の雰囲気を紹介するコンテンツです。特に店舗での体験や雰囲気を伝えることは重要であり、オフラインの魅力までオウンドメディアを通じて伝えることが理想です。

スタッフコンテンツ

社員やスタッフを紹介するコンテンツです。スタッフの個性や専門知識を活かし、商品やサービスに関する情報を提供することで、消費者との親近感を高める効果が期待できます。

あわせて店舗の雰囲気やスタッフとのコミュニケーションも重要で、消費者は商品だけでなく、購買体験や店舗の雰囲気も重要だと考えています。オウンドメディアを通じて店舗内の様子やスタッフの情報を発信することで、消費者との親近感を高め、店舗への来店意欲を喚起することができます。

 

 このように、オウンドメディアのコンテンツは小売業が持つ特有の要素を活かして価値を提供するものであるべきです。企業が直接オンラインのコンテンツを作成しようとすると、どうしても目先のアクセス数を意識してしまい、突飛なアイディアや刺激的なコンテンツを作成してしまいそうになりますが、あくまでも消費者のニーズや興味に合わせて価値を提供し、消費者との関係を築く手段として活用することが大切です。小売業が持つ「商品・店舗・企画・ヒト」の要素を組み合わせて、独自のコンテンツを創り上げることで、堅実で効果的なオウンドメディアを構築することが可能なのです。

 企画やコンテンツは消費者のニーズや興味に合わせて提供することがカギとなります。消費者がコンテンツに共感し、自分自身の生活や利用シーンに結びつけることができれば、オウンドメディアは強力なマーケティングツールとなり、消費者の購買意欲を高めることができます。結果的にUGCコンテンツが盛んに展開されるようになり、バズるコンテンツがアーンドメディアに溢れるようになれば、効果的なメディア戦略を実現することができるでしょう。

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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