私が社長を辞めたワケ ―ファミリーマート上田準二さんの場合―

2013/04/11 00:00
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 4月9日。ファミリーマート(東京都/中山勇社長)の2013年2月決算発表会が開かれた(@サンケイプラザ大手町)。冒頭で同社代表取締役会長の上田準二さんが2012年末に突然社長を降板した理由について縷々説明した。(談:文責・千田直哉)

 

 昨年年末の慌ただしい時に、社長交代を発表して、サプライズや違和感を持たれた方も多かったかもしれない。社長交代については、いまだにさまざまな憶測記事が出ているようなので、その背景について話しておきたい。

 

 この交代は、私の一身上のスキャンダルやコンプライアンス(法令などの遵守)違反、経営上の過失があったからではない。

 

 理由は3つある。

 

 ひとつには、私は65歳の終結の時をもって、社長を交代すると固く心に決めていたことだ。図らずも発表の12月27日は、私の誕生日だった。午前中の発表にこだわったのは、私は午後に生まれたからだ。午後になると66歳になってしまう(笑)。

 

 次に2つめの理由だ。

 11年前、私が社長に就任した当時、ファミリーマートのコンビニエンスストア(コンビニ)業界内の位置付けは規模においては3番手から4番手。クオリティにおいては4番手以下だったと思う。

 トップチェーンから見れば、“3流コンビニ企業”に映っていたに違いない。

 その後、規模においてもクオリティにおいても改善を進めながら、増収増益を重ねて8期連続の増配を達成することができた。

 また、かねてからの目標であった「2015年度、グローバル2万5000店舗」態勢を前倒しで達成することができるメドもついた。

 今や“3流コンビニ企業”ではなく、大手3番手コンビニ企業になったという自負があり、私もお役御免でいいのではと考えるに至った。

 

 3つめは、ファミリーマートの成長戦略は、これで一段落ではないということだ。2014年2月期は、「次の10年を決める勝負の年」と位置付けている。

 すべての分野で、「攻め、攻め、攻め」の態勢で臨んでいく必要がある。

 そのような中で、今般、若くて、情熱があり、バイタリティのある中山勇社長を指名し、バトンタッチできたことを非常にうれしく思う。中山社長は、私が社長に就任した年齢とまったく同じだ。この年代は、死ぬほど仕事をしても、快感を覚える年頃である。

 今後のファミリーマートのさらなる飛躍とネクストステージをリードしてもらえると期待する。

 

 最後になるが私自身、代表取締役会長として、中山社長体制をバックアップしながら、二人三脚で経営に当たっていきたい。

 

 なお、同日発表されたファミリーマートの2013年2月期連結業績は、営業総収入3340億円(対前期比1.5%増)、営業利益431億円(同1.2%増)、経常利益454億円(同1.3%増)、当期純利益250億円(同50.9%増)と各利益段階で最高益を達成した。出店数は過去最高の900店舗、新設店の日商42万9000円、既存店舗伸長率1.6%減、差益率27.89%(同0.3ポイント〈pt〉増だった。

 

 一方、2014年2月期連結業績予想は、営業総収入3541億円(対前期比6.0%増)、営業利益451億円(同4.6%増)、経常利益478億円(同5.3%増)、当期純利益225億円(同10.1%減)。プロパー出店数1500店舗(同600店舗増)、新設店の日商目標45万円、既存店舗伸長率同1%増、差益率28.3%(同0.41pt増)を目指す。
 

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