ワンランク上の品揃えでも割安感あり! 都市型小型店「オーケー札の辻店」を解説!

2023/10/10 05:59
経営コンサルタント事務所 アズライト/代表:榎本博之
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オーケー(神奈川県)は2023年5月10日、東京都港区に「オーケーストア札の辻店」(以下、札の辻店)をオープンした。10月には東京・銀座、11月には東京都立川市の「立川髙島屋S.C.」内と、この秋は注目店の出店が続く同社。JR山手線「田町」駅から徒歩圏内という同社でも屈指の都心立地への出店となった札の辻店ではどのような売場づくりをしているのか。前編では、青果、鮮魚売場を解説した。後編では、精肉、総菜の売場を見ていこう。

精肉は「ワンランクアップ」の品揃え

 鮮魚から続く精肉売場では、ブランド肉を意識した訴求が目立つ。売場のトップは黒毛和牛のA5ランクアイテムで、こちらも青果同様、オーケー既存店と比較してもワンランクアップを意識された品揃えとなっている(既存店はA4ランクの売り込みが中心)。

 黒毛和牛からは、豪州産ナチュラルビーフ、ラム肉、豚肉の茨城県産「紫峰ポーク」と続く。通常のトレーパックだけでなく、アウトパック品のノントレー商品を複数揃えており、商品構成の幅広さと豊富な品揃えの効果的に実現している。

精肉売場で販売する「紫峰ポーク」(100g当たり219円)

 精肉では、生鮮部門の中で唯一、平台コーナーを設けているものの、商品の紹介がメインで単品量販する意識はあまりないようだ。上段の調味料とあわせ、メニュー提案を中心とした展開になっている。

 ひき肉は、精肉で取り扱う銘柄肉の商品を揃えており、鮮度のよさは打ち出されていた。一方、要冷蔵の味付け肉のラインナップは限定的で、素材型商品が中心だった。平台と同様に、定番売場も上段に加工食品の関連販売を実施しており、買上点数の増加を狙っている。

客単価を上げる仕掛け

 総菜は、おかず類よりも弁当類が充実した構成となっており、インストア製造、アウトパック納品を組み合わせ、298円~500円前後の約20SKUを揃える。インストアではローストビーフ丼をはじめ、ボリューム感やインパクトをねらったアイテムが中心となっている。

インストア製造の「ローストビーフ丼(温泉玉子入り)」は税抜404円で提供する

 これらインストア製造の商品は、当日の売場の状況を踏まえながら、供給量のコントロールを行っているようだ。インターネットの口コミによると、弁当類は平日には夕方までに売り切れることが多く、人気アイテムに育っているようだ。筆者が視察した週末の午後は、陳列量がかなり多く、オフィス需要だけでなく地域住民の需要も着実に取り込みつつあるようだ。

 サラダ類はアウトパックを中心に、ケース1台を使って売場を展開する。売場スペースを大きくとるだけでなく、売場のトップに配置していることからも、購買頻度を向上させるとともに、弁当や寿司との同時購買で客単価増大をねらっているのがわかる。オーケーの看板商品であるピザも6SKUを揃えており、複数枚を手に取るお客も見られた。おかず類はベーシックな揚げ物類が中心で、要冷蔵のアイテムはサラダコーナー内で展開されていた。

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