新店から見る島忠の変化 客数大幅増の理由とは?

高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
Pocket

多くの小売業が客数減に苦しむなか、家具、ホームセンター(HC)大手の島忠(埼玉県/岡野恭明社長)は2019年8月期の上期、既存店客数を対前期比4.8%増と大幅に増やしている。最近の新店「ホームズさいたま中央店」(埼玉県さいたま市)と「ホームズKITE MITE MATSUDO店」(千葉県松戸市)から客数増の秘訣を探る。

キテミテマツド店
5月18日オープンの「ホームズKITE MITE MATSUDO店」

最重要KPIは客数

 「最も重視する経営指標は客数」。

 島忠の岡野恭明社長は弊誌単独インタビュー(『ダイヤモンド・ホームセンター』615日号にて掲載)にてこう明言した。

 実際、20198月期の上期業績を見ると、既存店客数が対前期比4.8%増と大幅に増えたことにより、既存店売上高は前期を上回っている。同業のホームセンター企業だけでなく、多くの小売企業が客数減に苦しむなか、島忠はどのようにして客数を増やしているのだろうか。

 島忠は188月期から始まる3カ年中期経営計画に取り組んでいる。内容は、「店舗開発」、「業態開発」、「コスト構造改革」、「経営インフラ整備」など、多岐にわたる。

 そのなかで、ここでは「業態開発」について、最近の新店から客数増の秘訣を見ていく。

都市型フォーマットへの挑戦

ホームズさいたま中央店
都市型の新フォーマット1号店「ホームズさいたま中央店」

 「え、これが島忠の店舗!?」

 埼玉県大宮市の「ホームズ埼玉中央店」(『ダイヤモンド・ホームセンター』5月号にて掲載)に筆者が初めて行ったとき、“いい意味”で裏切られた。

 同店は、都市型の新フォーマット1号店という位置づけ。駅から徒歩約10分の場所にある。2階建てで、1階には家具とインテリア雑貨を融合させた「スタイリッシュ」なイメージの売場が広がる。ニューファミリー層の取り込みを意識したキッズ用品売場を同社として初めて導入するなど、若年層を意識した売場となっている。

 ライフスタイル提案型という直営売場だけでなく、テナント構成も特徴だ。

 まず、中計で強化している食品スーパーを1階に配置。強力な集客力を持つ「角上生鮮市場」を誘致した。

 テナントに入居してもらうだけでなく、フランチャイジーとして自ら専門店も運営。毎日違う日替わりメニューを提供する「タニタ食堂」は、筆者が訪問した際、まだ午前1130分であったにもかかわらず、満席で大人気だった。なお、筆者は「ユーリンチー定食」を購入した。

 ほかにも、睡眠の専門コンサルティング「&Free~ねむりの相談所~」、女性向けフィットネスクラブ「タニタフィッツミー」をフランチャイジーとして展開している。

 

次のページは
さらに驚く!ホームズKITE MITE MATSUDO店

1 2

記事執筆者

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月よりダイヤモンド・ホームセンター誌編集長。ホームセンター業界のトレンドに精通しており、TV・ラジオなど数々のメディアに出演するほか、ダイヤモンド・リテイルメディアYoutubeでも業界解説動画を配信している。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態