即席麺市場、コスパ・タイパともに高く、価格改定の影響小さく

文:ライター:山田陽美
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2022年6月に続き、2年連続で価格改定を行った即席麺だが、おいしさと簡便性に加え、主食としてのコストパフォーマンスの高さから大きな影響は受けていない。今年も需要期に向けて各社では、主力商品のプロモーションの強化や新商品の投入などで需要拡大を図っていく。

数量PIは微減、金額PIは前年プラスで推移

 KSP-POSデータのインスタント袋麺の期間通算(2022年9月~23年8月)の金額PIは、7390円で対前年同期比5.4%増、数量PIは31.14で同1.9%減。22年6月の価格改定により、金額PIでは前年を上回ったが、数量PIでは微減となった。月別金額PIも2月以外はすべての月でプラスとなっている。6月の金額PIが同12.8%増と大きく伸長したのは、前年の価格改定の反動といえる。今年も同様に6月に価格改定を行っているが、影響は小さかったようだ。食品全般が価格改定を行うなか、袋麺は1食当たりのコストパフォーマンスが高いことから、ほかのカテゴリーに比べて価格改定の影響は少ないといえそうだ。

 また、6~8月は記録的な暑さが続いたが、7~8月の数量PIは微減にとどまっている。

即席めんのイメージ
袋麺は1食当たりのコストパフォーマンスが高いことから、ほかのカテゴリーに比べて価格改定の影響は少ないといえそうだ(i-stock/Olga_25)

 袋麺のトップブランドの日清食品「チキンラーメン」が今年で発売65周年を迎えた。バースデー月間である8月にテレビCMを放映したほか、店頭での試食販売を強化し、需要喚起につなげた。

 明星食品では、袋麺の「明星 麺神」シリーズをリニューアル。同社独自技術「新・生めん風3層極太製法」で麺はもっちり食感で、お店で食べるような品質を実現した。スープも麺に負けないよう、コクと風味が強化された濃厚スープに仕上げた。

 ここ数年、急成長を遂げているのが韓国の即席麺。農心ジャパンの「辛ラーメン(袋麺)」は、対前年同期比11%増と韓国即席麺を代表する商品だが、それに次ぐ商品として同社の「ノグリラーメン」も好調だ。ブランド全体で対前年同期比27%増と好調に推移(KSP-POS2022年7月~23年6月販売金額対前年比)。ピリ辛の〈HOT〉は同18%増、辛いのが苦手な人向けの〈マイルド〉は同381%増と伸長している。同品は、海鮮だしに、もちもちとした食感のうどんのような太麺が特長。同社では若年層に向けたプロモーション強化で、認知とファン拡大を図っている。

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