「進化系」登場で、中食で「アテ巻き」流行の予感!背景に寿司酒場ブーム

2023/05/05 05:55
佐藤 良子
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米飯の物販に勝機アリ

 運営するよつばしフーズ代表取締役、黒川晴美氏はアパレル業を経て2009年に創作料理のカフェバー「よつばしカフェ」を開業。3年目にランチタイムをナポリタン専門店にしたところヒットし、「昔からある(メニューだ)けれど、専門店がない店は強い」と実感したという。

アパレル業を経て、未経験から飲食業で独立した黒川氏。お客のフックとなる言葉を常にストックし、刺さるメニュー名にもこだわっている
アパレル業を経て、未経験から飲食業で独立した黒川氏。お客のフックとなる言葉を常にストックし、刺さるメニュー名にもこだわっている

 20183月にはなめらかな食感でカラフルな彩りにもこだわった、スプーンで食べるスイートポテト専門店「ポテトラボ」を出店し、芋ブームも手伝ってヒット。「見せ方や販売戦略が売上に直結する物販は、マンパワーが重要な飲食業よりも長期的に続けられると感じ、面白いと思った」と話す。

  そうした考えに加え「スイーツはトレンドに左右される」と感じたことから、米飯商品の開発に着手。「コンビニやスーパーにはあるけれど、専門店がないものとは?」と考えた結果、いなり寿司に辿り着き、2018年から開発に着手して20194月にいなり専門店「むろや」を展開。

 徳島県で食べたゆず酢を混ぜ込む寿司飯をヒントに、ゆず酢の寿司飯をいなりに詰め、揚げの口に具材を乗せるオープンタイプのいなりを開発。現在、全国に5店舗を展開し、各地で催事も行う年商2億円のブランドに育てあげた。

 そうした中、コロナ禍からカフェバーの移転を考えていた物件で新業態を展開することに。そこで生まれたのが、細巻き専門店の「米処 ゆず乃」だ。

 細巻きに着目した理由について、黒川氏は「寿司の持ち帰りは時間経過と共に固くなり、美味しくなくなってしまうため、扱いが難しい。そこにチャンスがあると思って展開したのが、いなり専門店のむろやで、すし飯もいなりの味や美味しさの持続性もかなり研究しました。手がけてみて感じたのは、米飯業界は近年、革新が無いこと。そこで他にも長年愛されているのに、専門店がない米飯ものは、と考えた結果、注目したのが寿司屋にしかない細巻きでした。また寿司酒場でアテ巻きが流行していることも注目した要因になりました」

 

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