菓子市場、コロナ禍での生活スタイルの変化からカテゴリーで大きく明暗が分かれる

文=山田陽美(ライター)
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カテゴリーフォーカス

在宅時間の増加による“巣ごもり消費”が拡大するなか、菓子はカテゴリーによって大きく明暗が分かれた。ガムやキャンディ、小袋スナックなどは苦戦する一方で、大袋のチョコレートやビスケットなどは好調だ。最新の菓子市場をレポートする。

家庭内消費が増えたチョコレート、ビスケットは好調

 KSP-POSのチョコレートの期間通算(2019年9月~20年8月)の金額PIは、1万7592円で対前年同期比1.3%増。月別PIでは、3月までは横ばいもしくは前年割れが続いていたが、4月からは前年を大きく上回っており、5月は同21.3%増となった。コロナ禍で在宅時間が増加したことで、大袋やロングセラー商品が好調で、手づくり需要の拡大により板チョコレートも堅調だ。

 秋冬に向けては、明治ではプレミアムタイプの「ザ・チョコレート」をリニューアル。4つの産地のカカオ豆を特徴的な「香り」や「味わい」に仕立てた。また、世界三大ナッツのヘーゼルナッツをまるごと使った「ヘーゼルナッツチョコレート」を発売した。

おやつイメージ
i-stock/kohei_hara

 ロッテでは「ガーナ」ブランドのエクステンションを広げるとともに、新しく「ガーナ」のコミュニケーションを9月からスタートした。また、洋酒チョコレートの定番商品の「ラミー」「バッカス」をリニューアル。新規ユーザーを獲得するパッケージと利便性の向上を図った。

 ビスケット・クッキーの期間通算の金額PIは、9369円で同5.3%増。月別金額PIでは、チョコレート同様にビスケット・クッキーも“巣ごもり”需要で4月以降は好調に推移している。不二家では、お家時間が増えるなか、日常に彩りを与えるごほうびクッキーとして、ヨーロッパ伝統の焼菓子「ホロル」シリーズを発売。新たな価値を提供し、市場を盛り上げる。

 ブルボンでは、昨年発売した「ひとくちルマンド」が好評なことから、この秋は練乳感のある準チョコレートを使用した「ひとくちルマンドホワイト」をラインアップした。

菓子の金額PI対前年推移

ガム、キャンディは前年割れが続く

 スナックの期間通算の金額PIは、1万2651円で同7.6%増。月別金額PIでは9月以外はすべての月で前年を上回った。とくに“巣ごもり”需要により4月、5月、7月は2ケタ増となった。カルビーでは新しい食感を楽しむポテトチップスを提案しており、最薄の「シンポテト」、超厚切りの「ポテトデラックス」、最堅の「クランチポテト」など、食感バリエーションを増やすなど、新しい挑戦を続けている。

 一方、コロナ禍で苦戦を強いられているのがガムだ。ガムの期間通算の金額PIは1745円で対前年同期比10%減。在宅ワークの増加や外出自粛により、ガムを噛む機会が減り、4月以降は大きく縮小している。シェアトップのロッテでは、ガム購入を促進するプロモーションを展開している。

 キャンディ・キャラメルもガム同様に厳しい状況で、期間通算の金額PIは8625円で同1.7%減となった。通勤・通学時の喫食シーンが減少したことに加え、マスク着用によるのど飴需要の減少、インバウンド需要の減少などが要因として考えられる。

 “巣ごもり”が追い風になったカテゴリー、逆風になったカテゴリーがあり、大きく明暗が分かれるかたちとなった。

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