イオン、ヨーカ堂も本気、模倣困難な水準へ進化する総菜のSPA化!

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
Pocket

自社独自のロードマップ策定を

 このように、市場において十分な競争力を有する大手流通グループ2社が、ほぼ同じタイミングで総菜SPA化の実現に向けて本腰を入れ始めた。これが意味するのは、前述した市場環境の変化のなかで差別化を図るためには、総菜のバリューチェーンを一貫して自社でコントロールすることが、避けてとおれないということだろう。

 限られた人時で効率的に、かつ安定して高品質な商品を供給する。一方で、店内調理での出来立てを訴求したり、あるいは専門店レベルの手の込んだメニューを提供する。多様なニーズに応えた豊富な総菜メニューを揃えるためには、SPAを軸とした製造・開発戦略と、それに見合った設備や人材、技術を保有しなければならない。

 それを志向する企業と、そうしたアクションを起こさずに既存の限られた人的リソースと外部メーカーへの依存でやりくりしている企業との格差は、今後ますます広がっていく可能性が高い。

 ただし総菜SPAの手法は、企業規模や投資余力によって大きく変わってくる。先進企業のやり方をなぞってもうまくいく保証はなく、“戦略なきSPA化”は投資リターンを得られずに瓦解してしまうリスクもある。自社のポジショニングとSPA化によるゴールを明確にしたうえで、実現のためのロードマップを策定することが先決だ。

1 2 3

記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。

企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)済み。

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態