ロボティクス技術×物流ビジネスが人と社会にもたらす新たな価値

2020/06/08 11:50
氏家 正道(フェデックス エクスプレス 北太平洋地区担当副社長)

ロボティクス技術の開発や導入を行う業界や企業は年々増加し、物流業界もその活動が活発です。物流ビジネスにおけるロボティクス技術活用の機会の増加は、既存の輸送業務の効率を高めることに加え、より良い社会と未来に向かって新しい価値を提供できる可能性を持っているのです。

ロボティクス技術は人々の生活の質を向上させる鍵となっていく。

ロボティクス技術で社会の課題に挑戦

ロボットが直接お客様に接して物流サービスを提供するようになるには、さらに時間が必要でしょう。さてそれが現実となったとき、我々はどのようなイノベーションを起こすことができるでしょうか。新しい価値を提供する一つのアイデアとして、人々や地域を支えるための業界を超えたコラボレーションによる、配送ネットワークが考えられます。

ロボティクス技術はそこで、地域の配送ロボットとして活躍します。ショッピングモールや商店街などの店舗が集まる場所に、配送ロボットの拠点を置き、各店舗は購入された品物をそこに持ち込み、それらをまとめて、配送が必要な近隣住人に届けるのです。ここでは、配送ロボットとその拠点を地域の多様な事業者が利用できるようにすることがポイントです。多様な店舗と物流サービスのコラボレーションによる新しいサービスは、地域の生活者により多くの選択肢と高い利便性を提供します。このようなサービスは、日本の高齢化社会問題に対する解決策の一つになるのではないでしょうか。

人をサポートするロボティクス技術

物流業界が近年抱える人手不足の問題でも、ロボティクス技術の活用が解決方法となりえます。例えば、ロボットが単純作業を代替することで、人間はより高度な知識や経験を求められる仕事に従事できるようになります。それらの仕事の中には、ロボティクス技術を開発し、活用するために管理するという、高い専門性が求められる新しい仕事も含まれるようになるでしょう。こうした変化は物流業界の労働環境の改善や、従業員の仕事に対する満足度の向上に貢献し、経営資源の最適化によるサービス品質や顧客体験の向上をも可能にします。
e-commerceの拡大などで、物流サービスが人々により密接に関わる現代では、これらの変化は、人々の生活と社会により大きな影響力を持つのです。

フェデックスは創業以来イノベーションを重要視し、最新技術を積極的に取り入れてきました。米国のフェデックスではすでに、輸送施設やオフィスにおいて複数のロボットを活用しています。2018年から、大型で仕分けシステムのベルトコンベアに乗せられない荷物は、自律走行の運搬台車で移動させています。この台車は施設のレイアウトを理解しており、内蔵されたセンサーによって複雑な通路を安全かつ効率的に移動することができるロボットです。また一方で、小型の物品を運んで従業員をサポートしている例もあります。携帯電話の修理サービス事業を行う米国のフェデックス・オフィスでは、Samと名付けられたロボットが、お客様と接する受付の従業員と別の部屋で待機する修理担当者を繋ぐ役割を果たしています。受付でお客様の携帯電話を預かったSamはオフィス内を自動で移動し、エレベーターも自動でコントロールして乗り込み、ビルの別の階にある修理担当部署まで届けています。修理が終われば、Samはまた同じように携帯電話を運んで受付まで戻ってくることで、従業員の業務効率化に貢献しているのです。

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