アルディ好調続く、カルフールも復調?英仏独ヨーロッパ3 国の最新小売動向解説!
欧州では、英国、ドイツ、フランスの3カ国が大きな小売市場を形成しており、また上位企業の多くは本国や欧州内のみならず世界的に事業を展開しているのが特徴だ。欧州主要小売企業の最新の業績と経営戦略を分析する。※1ユーロ=145円、1ポンド=165円換算
主要3カ国の小売市場規模は拡大
2021年度の欧州主要3カ国(英国、フランス、ドイツ)の小売市場規模はいずれも前期(20年度)から拡大した。
英国は20年度のコロナ禍の影響による停滞を経て、21年度は4813億ユーロ(約69兆7885億円)、対前期比7.0%増と大幅伸長を見せた。フランスの小売市場規模も20年度はコロナ禍の影響で対前期比0.8%減であったが、21年度は4646億ユーロ(約67兆3670億円)、同3.9%増と持ち直している。
一方、ドイツはコロナ禍でも市場規模の落ち込みや停滞は見られず、21年度も継続して成長しているのが特徴だ。21年度の同国の小売市場規模は5549億ユーロ(約80兆4605億円:同3.5%増)と堅調に推移している。以降、各国の主要小売企業の動向を詳しく見ていこう。
英国
ネットスーパー市場での競争が激化
英国のSM最大手テスコ(Tesco)の21年度の売上高は614億ポンド(約10兆1300億円:対前期比6.0%増)だった。売上高の90%以上を占める英国・アイルランド事業の売上高は同6.1%増加で推移したが、これは17年に買収した英食品卸最大手のブッカー(Booker Group)の売上高が加わったことによるもの。その影響を取り除くと、同事業は前年度から横ばいあるいは減少で推移したとみられる。英国では、多くの産業・製品の市場が伸長している一方で、消費者の外食への支出が従来水準に回帰しつつある影響から、食品小売市場は伸び悩んでいるようだ。
また、テスコの英国におけるネットスーパーの売上高は、顧客の多くが実店舗での買物に回帰した影響から同6.5%減と落ち込んだ。それでも、英ネットスーパー市場全体におけるシェアは業界トップの約35%を保っている。
テスコに次ぐSM大手のセインズベリー(Sainsbury)の21年度の売上高は281億ポンド(約4兆6365億円:同2.6%減、ただしエネルギー事業を除く)で、マイナス成長となった。カテゴリー別では、ゼネラルマーチャンダイジング(日用雑貨)が同11.9%減、グロサリー(食品)が同0.2%減となった一方、衣料品が同12.7%増と伸長した。
ネットスーパー事業は
世界の小売業ランキング2022 の新着記事
-
2022/12/05
世界の小売業レポート2023 「巨大市場の統合」が進む中国と多方向に発展する東南アジア -
2022/12/02
アルディ好調続く、カルフールも復調?英仏独ヨーロッパ3 国の最新小売動向解説! -
2022/12/01
トップ10に変化!2022年度版、世界の小売業売上高ランキングトップ100&市場分析!
この特集の一覧はこちら [3記事]
関連記事ランキング
- 2024-08-29海外最新トレンド、ローマのHCに学ぶ「ルロイ・メルラン」
- 2024-06-10最新版!アメリカ小売業ランキングトップ10 成長続くも業態・企業で明暗
- 2023-06-08アメリカ小売業トップ10社ランキングに見る、大手企業の最新動向!
- 2022-11-25‟超”拡大する冷凍食品市場 食卓の異変と冷食の進化、小売業の新しい売場づくりとは
- 2024-03-18インフレ・人手不足が続く米国では効率化が課題、ついにスマートカート決済が拡大か
- 2024-08-26アジアの最先端がここにある NRF APAC2024徹底解説プログラム!オープニング対談
- 2024-07-05あのチェーンも導入!食品スーパーの「量り売り」、成功の秘訣は?
- 2021-01-15カナダのコンビニ大手クシュタールがカルフールに買収提案、1株20ユーロで
- 2023-10-06オランダ最大の小売企業「アルバート・ハイン」に今注目すべき理由
- 2023-12-07ウォルマート、1兆円超の改装進行 カルフールが店舗を買収