売上4000億円を突破!値上げ&コスト増局面でも「業務スーパー」の神戸物産が強い理由

リテールライター:崔順踊
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値上げが予想されるなか、今期も増収増益を計画!

 2023年10月期の業績予想は、売上高が同8.2%増の4400億円、営業利益が同6.8%増の297億円、当期純利益が同1.8%増の212億円と増収増益を見込む。

 一時1ドル150円を越えた未曽有の円安は緩和されつつあるものの、依然として円安ドル高の状況は続いている。そのため、売上の2割を占める輸入商品のコスト増が来期も課題となる。加えて原材料の価格高騰や電気水道などのインフラコストは高止まりが続くと見られ、コスト圧力がグループ工場に大きな負担としてのしかかっている。

 これらコストの商品価格への転嫁について、沼田社長は「輸入品については、為替自体が落ち着いてきたので、これ以上の値上げはおそらく必要ないだろう」とする一方で、「ナショナルブランドや当社のグループ工場の商品はまた一段、二段と値上げが必要になる」と述べる。

 「この1年間は原材料価格や為替が急速に変化し、それを後追いするようなかたちとなってしまった。原材料の値上げも、そこから上がってはいるものの、上昇ペースは緩やかなになっていると見ている。うまく価格に転嫁して、しっかりと利益を調整していきたい」(沼田社長)。

 その一方で、出店戦略では、フランチャイズオーナーからの後押しもあり、40店舗の純増をベースに予算を立てるなど、不透明な経済環境下においても攻めの経営を続けていく計画だ。

中計2年目!売上目標は前倒しで達成

 神戸物産では、2022年10月期から3カ年の中期経営計画がスタートしており、今期はその2年目となる。中計では、2024年10月期に売上高4100億円、営業利益320億円、ROE20%以上を目標としているが、すでに売上高は2023年10月期に達成する見通しで、修正を検討するという。

 中計の基本方針は、PB商品の強化を継続するほか、主力事業の業務スーパー事業を拡大することを中心となる。加えて少子高齢化や女性の社会進出に対応すべく中食事業も拡大していく。多様化する食のニーズに対応すべく、外食事業も強化していく方針だ。 

 2023年も食品やその他品目の値上げは確実だ。これまで節約志向が高まれば高まるほど顧客を獲得してきた神戸物産だが、スーパーマーケットやドラッグストアなどの他業態も必死に売上確保を目指すなか、「食の製販一体体制」と「独自のローコスト販売システム」、独自の「商品力」という3本柱の戦略で、この値上げ時代にどんな成長や革新が見られるのか?

 2023年も神戸物産の事業拡大から目が離せない。

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