売上4000億円を突破!値上げ&コスト増局面でも「業務スーパー」の神戸物産が強い理由

リテールライター:崔順踊
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主力事業「業務スーパー」が業績をけん引

 主力事業の業務スーパーは店舗拡大を続けている。2022年10月期は79店舗を新規出店し、22店舗を退店。総店舗数は57店舗の純増となり、2022年10月末には1000店舗を達成し、期末時点では全国に1007店舗を展開する。「純増数は目標の60店舗に対して3店舗の未達となったが、依然として各オーナー様の出店意欲は非常に旺盛で、今期(=2023年10月期)もある程度の数値が期待できると考えている」(沼田社長)。

 業務スーパー事業の売上高は3962億円、営業利益は316億円(2021年10月よりセグメント区分の変更があったため、過去データとの増減比較なし)で売上高営業利益率は前期から0.7ポイント悪化したものの8.0%と高い水準を維持している。

 業務スーパーの競争力の源である、プライベートブランド(PB)商品の開発・生産体制は強化されている。2021年1月に宮城県、同4月に岡山県の食品製造工場が稼働し、自社グループ工場数は国内で25カ所と、日本最大級の規模となっている。これら自社工場で製造された商品と、直輸入商品を合わせたPB比率は34.74%と、同1.62ポイント増となった。

既存店売上高は18年10月期比較で32%も成長!

 また、既存店売上高(直轄エリア、業務スーパーへの出荷実績)は2022年10月期は対前期比4%増と好調。直近4期だけでも、19年10月期7.1%増、コロナ1年目の20年10月期15.9%増、21年10月期2.4%で、毎期プラス成長。

 18年10月期と比べると22年10月期の既存店売上高は32.2%も成長していることになる。沼田社長はダイヤモンド・チェーンストア誌のインタビューで、最も重視する指標を「既存店売上高」とした上で、「毎期、対前期比2%以上伸ばすことを目標にしている」と語っており、近年はそれを遥かに上回るペースで既存店を成長させていることになる。

 そのほか、神戸物産では、ビュッフェレストラン「神戸クック・ワールドビュッフェ」、焼肉オーダーバイキング「プレミアムカルビ」、総菜専門店「馳走菜」など外食・中食事業を展開しているが、とくにビュッフェなどはコロナ禍で打撃を受けており、同事業は2022年10月期は前期に続いて営業赤字での着地となった。

 「ワールドビュッフェに関してはこれから確実に回復に向かうと見ている。プレミアムカルビは、さらなる成長のための先行投資の位置づけで、個店ベースの営業損益の合算ではすでに黒字化している事業だ。とくに大きな心配はないと考えている」と沼田社長は話す。

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