欧米の小売売上回復も日本は最悪!下期の消費見通しと、小売経営で注視すべき3つのポイント

渡辺林治(流通アナリスト)
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 上期の小売企業は、新型コロナウイルス感染症(コロナ)危機への対応に追われた。消費者と従業員は感染や生活への不安が高まり、取引先は事業継続の困難に直面した。そうした中で小売企業は、食品とヘルスケアを中心に生活インフラとしての役割を見事に果たした。しかし一方で、ソーシャルディスタンシングをはじめ新しい生活様式が広がりつつある。「ウィズコロナ」の中で、消費者は生活に工夫を重ね変化を続けている。

 そこで今回は、下期のコロナ感染と消費の見通しを考え、下期の小売業はどう立ち向かっていくべきなのかを提案したい。

 まずはコロナの動向を確認していこう。厚生労働省などによると9月28日時点で、PCR検査数は230万人で陽性率3.6%、感染者数は8万2000人で死者数は1548人となっている。主な先進国の中で、日本は最もコロナの死者数が抑え込まれている。米国の死者数は約20万人。欧米ではとくに少ないドイツでも9464人であり、日本の死者数がきわめて少ないことがわかる。

 日本人の多くは今のところ、感染しても軽症で済んでいるようだ。2018年の日本人の死因は、がんが37万人、心疾患が21万人、インフルエンザを含む呼吸器系疾患が19万人だった。これらのデータを踏まえると、日本のコロナ死者数1548人は限定的にみえる。

 今後の見方だが、油断はできないものの、マスク、手洗い、身体接触の回避、アルコール消毒の徹底により、感染拡大は穏やかに進む可能性もありそうだ。したがって経営者としては、「弱いペースで感染拡大」をメーンシナリオとしながら、「急速に拡大」というサブシナリオ、「感染が広がらない」というリスクシナリオへ備える必要がある。

 一方で、日本の消費は非常に厳しい状況だ。

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