最強のナンバー2ホームセンター、ロウズCEOが語るオムニチャネル戦略とは

フリーランスライター:松岡由希子
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米ホームインプルーブメント(HI)業界(日本でいうホームセンター)および世界のHI業界で不動の2位の座にあるロウズ(Lowe’s)。同社の戦略を語ったマービン・エリソン社長兼CEO(最高経営責任者)の基調講演をまとめた。

企業方針転換のためディスラプションを実行

 2018年7月の社長兼CEO就任当時、ロウズは変革期にあった。財務状況は健全だったが、差別化戦略がなく、市場シェアを失っていた。そこで、さまざまなポジションで優秀なリーダーを新たに迎え入れ、企業を方針転換させるためのディスラプション(破壊)を行った。

 そのなかで、われわれは「小売の基本こそ重要だ」ということに気がついた。世界的に優良な小売企業は、品揃え、サプライチェーン、オペレーションの効率化、顧客エンゲージメントに優れている。われわれは基本に立ち戻り、根本的な課題に取り組んだ。

ロウズのマービン・エリソン社長兼CEO(右)
右がロウズのマービン・エリソン社長兼CEO

 ECは10年前のプラットフォームで運用されていた。そこで、ECの基本として、効率的に稼働し、顧客の需要に応じてSKUを制限なく追加でき、現代の小売業に必要な更新や変更ができるよう、クラウドへの移行をすすめた。

 「トータルホーム(Total Home)」戦略は、ロウズの店舗やオンラインで、自宅のリフォームプロジェクトや自宅に関するあらゆる商品・サービスを買えるようにするというシンプルな指針だ。これを実現するため、オンライン・オムニチャネルのケイパビリティの向上、品揃えの拡充、設置サービスの現代化などの領域に投資した。これらの投資により、昨今のインフレや金利上昇にもかかわらず、業績は好調を維持している。

顧客はフリクションのない利便性を求めている

 現在、プロ顧客の需要は強く、DIY需要も持続している。23年は

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