エリア内のNo.1企業とどう戦う? 売上規模500億円チェーンが勝ち抜くための戦略は

鈴木 武夫 (株式会社 日本コンサルタントグループ パートナーコンサルタント)
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ステップアップに欠かせない「商品部の強化」

 この規模のチェーンがさらなるステップアップをするためには、商品部の強化も必要になってくることでしょう。前回の連載でもお伝えしましたが、「利は元にあり」です。マーチャンダイジングのレベルアップを図り、自社の成長につなげていただきたいところです。

 まず、見直したいのが「情報収集」の方法です。当然、一般的な情報収集はできていることかと思います。ただ、これからの時代は、当たり前の情報だけでは生き残っていくことはできません。必要な情報をタイムリーに掴むことができるように、あちこちに精度の高いアンテナを立てて、情報を収集することが求められます。重要なのは「癖をつけること」です。最低でも独自の情報収集先を3つ、持つようにしてください。

 「バイヤーの教育」も課題です。企業が次のステージに上がっていくためには、バイヤーの再教育が必ず必要になってきます。店舗運営はオペレーションの工夫で何とか乗り切ることができますが、バイヤーの仕事はオペレーションで動かすことができません。

 それは、バイヤーは「人に付く仕事」が多いからです。バイヤーの教育は「初級」「中級」と段階を踏みながら成長させる教育体制が欠かせません。皆さん、自分の会社にはそうしたキャリアプランが用意されているでしょうか。

 当然、商品部ですので「絶対に負けない商品づくり」も重要になります。バイヤーはルーチン業務ももちろん大切ですが、今後はこの部分を強化していかなければ、会社が大きくなっていきません。エリア内の新新店舗やベンチマーク店舗のリサーチを欠かさないことです。そのためには、やはり定点観測が重要となります。

 次に、「マーケティング」という視点も忘れてはいけません。商品を販売するにあたり、最初に考えるべきは、「マーケティングの4P」です。「Product(商品=何を売るのか)」、「Price(価格=いくらで売るのか、数量・利益は)」、「Place(場所=どこで売るのか)」、「Promotion (販促=どんな販促を展開するのか)」。この4Pを土台にPDCAサイクルをうまく回し検証をしていくことです。

 ご存知の方も多いと思いますが、PDCAとは、①Plan(計画・企画)→②Do(実行)→③Check(状況把握・分析)→④Action(改善)のサイクルを回していくことです。販売計画を立案して実行、そして検証・改善をする。簡単に書いていますが、奥が深いことです。これも癖にしていくと、企業の力になっていくことでしょう。

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記事執筆者

鈴木 武夫 / 株式会社 日本コンサルタントグループ パートナーコンサルタント

埼玉県出身。大手食品スーパーから中小スーパーを経験し、商品部の業務改善・利益改善に従事。小売業での経験を生かし食品スーパー、食品メーカー、流通機器メーカーへの商品政策、販売政策、店舗レイアウト、棚割、陳列、演出、数値分析などのコンサルティングも手がける。モットーは「実行なくして実効なし」、スピード感のある仕事をすること。

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