豚肉強化・価格・ロス率・味・・・ ベルクの集客部門、「精肉売場」強さ4つの秘密
本特集で実施した消費者調査の結果、ベルク(埼玉県/原島一誠社長)の精肉部門では、同部門を強みとする有力チェーン並みに豚肉の購入率が高いことがわかった。そこで精肉部門のスペシャリストであるブルーチップ総合研究所の木元治仁氏に、ベルクの精肉部門の強さを調査・分析してもらった。
埼玉エリアの豚肉消費額は牛肉・鶏肉の2倍以上!
ベルク精肉売場の特徴は「ふだんの食事」に特化した売場づくりをしていることだ。一見、何の変哲もないどこにでもある売場に見えるが、実は奥が深く、マーケットに即した商品展開ができている。
まず、ベルクが主な商勢圏とする埼玉エリアのマーケットに目を向けると、埼玉県さいたま市の精肉消費金額(家計調査年報)によると、2020年9月の豚肉の消費金額は2620円(対前年同月比235円増)で、これは牛肉の2.37倍、鶏肉の2.14倍に当たる。精肉消費額全体に占める豚肉の構成比は39.7%(同3.6ポイント増)で約4割にのぼる。関東圏では、豚肉が好んで消費されるというが埼玉エリアも例に漏れず、かつ消費量は拡大している。つまり、埼玉エリアを商勢圏とする食品スーパー(SM)にとっては、豚肉の品質・価格の競争力の高さが競争を勝ち抜くうえで重要となる。
そうしたなかベルクの精肉部門を調査するべく、20年9月にオープンした「ベルクフォルテ秦野店」(神奈川県秦野市:以下、秦野店)を訪れた。同店は神奈川県の店舗だが、ベルクの店づくりは基本的に標準化されており、主商勢圏の埼玉県内にある店舗と、精肉部門の売場づくりは同じである点を伝えておきたい。
まず精肉売場のレイアウトを見ると(図表❶)、客動線順に、加工肉、鶏肉、豚肉、挽肉、インストア加工ハムと続き、突き当たりが味付き肉、その横に牛肉となっている。
牛肉売場のスペースが広く見えるかもしれないが、多段ケースの数で換算したスペース構成比では、豚肉が31.7%(66尺)、牛肉が29.3%(61尺)、鶏肉が17.3%(36尺)、挽肉が11.6%(24尺)、味付き肉が10.1%(21尺)で、豚肉が最も高い。売場中央の平台でも広くスペースを割いて販促していることからも、重点販売カテゴリーは豚肉であることがわかる。
細かい量目対応「味」「安全・安心」を追求
ここからは豚肉にフォーカスして品揃え、価格、商品を見ていこう。
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