中古品拡大、新品は受注生産に、ユニクロは世界一へ!2030年、アパレル業界の未来はこうなる!13大予測
企業の変化③進む受注生産による破棄ロスゼロ
今、アパレル産業は世界第2位の環境破壊産業と批判されているが、その原因となっているのが過剰在庫だ。過剰生産による過剰在庫を撲滅する最良の方法は、JIT (JUST IN TIME)による受注生産である。今、スーツやニットでは、徐々にこの技術が広まりつつあるが、カットソーもプリント技術の進化により受注生産はすでに可能であり、今年の始め、私はイメージマジックという工場に見学に行った。実は、LVMHグループなど、トップメゾンは、彼ら日本の技術を使っている。それらの技術はほとんど日本が持っているのだ。ユニクロがMade in Tokyoを静かに立ち上げたのは、SDGs対応によるトレーサビリティ(生産工程の見える化)もあるが、こうした背景は無視できない。
企業の変化④ 大企業は一部が残り、個人や小企業が台頭
大企業は機能不全に陥っている。企業内部では、組織が細分化され極端にリスクを嫌う風土ができあがってる。結果、大企業の中で個人プレイは厳しく取り締まられ、多くが合議制できめられる。合議制というのは大きなミスは起きないが、面白い企画は「事例、先例がない」といって切り捨てられてゆく。
こうした現状に、丸井や神戸の名門アパレルのワールドは、おもしろい企画をもった小集団にデジタル技術を駆使し、製造工場と企画をダイレクトにつなぎ、消費者にダイレクトにEC販売をさせる【D2C】というスタートアップへの投資事業に軸足を移している。
自らの限界値を見定めた、また、将来の見識を読んだ、極めて正しい判断だと思う。自分たちがイノベーションを起こしにくいなら、起こせる個人や企業を支援しよう、ということだ。発想を考えれば、マネタイズポイントは無限に存在する。結果、日本のアパレル企業は、工場直販、いわゆるD2Cスタートアップが増える。彼ら、彼女らは、Netflixで度肝を抜いた「全裸監督」のような、エリートには絶対にできない企画をどんどんつくるだろう。私は、未来のイノベーションが楽しみだ。
このように、企業の中から人が少なくなり、バリューチェーンは短縮化され、多くをロボットやAIがこなす。もはや人件費の安い国でアパレル商品を作る必要はない。こうして、人権問題も解決されるわけだ。こうした技術的背景をもっと世界にアピールしてゆけば、日本の衣料品の未来は明るい。
最後に、私たち消費者は10年後、どう変わるのだろうか?3つの変化を解説したい。
河合拓のアパレル改造論2021 の新着記事
-
2022/01/04
Z世代の衝撃#4 Z世代を追えば敗北必至!取るべきトーキョー・ショールーム・シティ戦略とは -
2021/12/28
Z世代の衝撃#3 既存アパレルが古着を売っても失敗する明確な理由とは -
2021/12/22
インフルエンサー・プラットフォーマー「Tokyo girls market」驚異の戦略とは -
2021/12/21
プラットフォーマー起因の歪な過剰生産が生み出す巨大ビジネス、SheinとShoichi -
2021/12/14
Z世代の衝撃#1 ライブコマースで「インフルエンサー・マーケティング」が失敗する衝撃的理由 -
2021/12/07
TOKYO BASEがZ世代から支持される理由と東京がショールーム都市になる衝撃
この連載の一覧はこちら [56記事]
関連記事ランキング
- 2024-12-10ワールドが三菱商事ファッション買収!進むアパレル垂直統合、2つの課題とは
- 2024-11-26イタリア繊維産業に学ぶ、高くても売れるビジネスの秘密とは 染めと売り方が段違い
- 2024-12-03ユニクロ柳井会長がウイグル綿花不使用発言に至った理由と影響、その複雑な背景とは
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2024-12-17あなたはいくつ備える?AI時代に生き残るビジネスパーソン3つの条件とは
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2023-09-26無印良品の一部となる三菱商事ファッションとユニクロ:Cの成功が意味することとは
- 2024-01-02勝ち組はSPAではなく「無在庫型」へ 2024年のアパレル、5つの受け入れ難い真実とは