中古品拡大、新品は受注生産に、ユニクロは世界一へ!2030年、アパレル業界の未来はこうなる!13大予測

河合 拓
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企業の変化①すべての企業がネット通販になる

bunditinay/istock
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 新型コロナウイルスによる「巣ごもり消費」もあり、企業売上はインターネット購買が増加。今ではどの企業も「EC化率50%を目指す」という。なぜ、企業はネット取引を増やそうとしているのか。それは、女性の社会進出により、平日、日中のお買い物客がほとんどいなくなったこと。そして、その結果、実際の購買は夜が中心になっているからだ。

  ますます進む小売価格のデフレ化とアパレル不況により、リアル店舗では収益が出ない。百貨店の家賃見合いは30%相当、また、SC家賃は固定費ゆえ企業規模によって異なるが、20%程度が一般的だ。ここに、販売員などの人件費や在庫費用を加え、乱発されるクーポン値引きを加えればリアル店舗ではほとんど利益はでない。そんな店舗を山のように出店している企業に未来はない。完全に世の中の流れを読み違えている。

 もちろん、ECも自社化にあたるシステム投資と顧客獲得(CPA)に、恐ろしいほどのコストがかかるが、ブランドがしっかりしていれば、LTV(生涯価値)により初期投資コストの回収は可能だ。加えて、ECであるメリットは、北海道でも九州でも、そして、海外でも企業側にとっての在庫や運営管理がシンプルになり生産性もあがる。

 10年後、アパレル企業は、経営者が数人、そして、クリエーターと呼ばれる企画をする人、そして、AIなどハイテク技術をメンテするエンジニアがいれば、1000億のビジネスを今の半分以下の人員で回すことも可能だろう。企業というのは、足し算は得意でコストはどんどん増えてゆくが、一度増えたコストを削る引き算は苦手だ。むしろ、スタートアップがデジタル技術を使って頭角を現すだろう。

 企業の変化②リアル店舗は体験価値を提供

 アパレル企業は、【体験場】、【決済場】、【受け取り場】に消費者起点で機能分類され、従来の商品軸やビジネスモデルの分類学は無意味となる。最近では、私はSPAとは何を指すのか、OMOとオムニチャネルにひび割れ程度の差しかないようなところをほじくりあげて語ることに意味を見いだせない。まさに、木を見て森をみない悪癖が襲っている。

【体験場】とはリアル店舗で、すでに、丸井やオンワードが表明しているよう「商品を売る場」から、「ブランドの世界観を体験する場」に変わってゆく。いわゆる「売らない店舗」が増えるし、これからのスタンダードになる。

 「売らない店舗」は、広告塔の役割を果たし、各エリアの一等地にだけ存在する。また、すでに採算がとれないリアル店舗数は圧倒的に少なくなり、人口の少ないエリアにはVR(仮想現実)技術を使い、プレステ5では当たり前の仮想空間の中で、好きな場所、好きな時間に、AIによる仮想販売員が人間の代わりをしながら接客する。ネットではプッシュ型営業である接客がないという課題もこうして解決される。

 決済はすべてスマホ経由となり、衣料品の中に仕込まれたRFIDというチップによって、自動的にクレジットカード決済される。クレジットカードを持てない人は、デビットカードから引き落とされ、完全キャッシュレス社会となる。

 商品配送は、都内であれば遅くとも翌日に届き、地方でも最大3日もあれば十分。コンビニや郵便局が【受け取り場】となり、再配達と積載率の問題は解決される緊急の場合は、雨の日はクルマの自動運転、晴れている日はドローンによる空輸配達も可能だ。このように、様々な技術を使って物流も無人化されてゆく。

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