アパレルも製造メーカーも小売も成功できる! 図解!化粧品事業参入のための差別化戦略
正しいブランド化の手順をフレームワークで整理する
こうした状況を踏まえ、「ブランド化」に向けた正しい手順を解説したい。「ブランド化」に必要なのは、「一貫性」、「明朗性」、「持続性」である。(図3)
技術力だけで成長してきたメーカーは、ブランド化と聞いて逃げ腰になり、大手の広告代理店に丸投げし、自社が訴求したいコアバリューとメッセージ、そしてマーケティング手法などが結果的にバラバラに業者発注され、単にデザインやセンスが良いとか悪いとかで広告評価を行いがちだ。これが多くの企業が陥っている落とし穴である。
正しい「ブランド化」に向けたステップは、その企業が持つ「強み」(そして、それはその企業の「出自」、そして、その「出自」が想起するイメージと密接な関係がある)をどれだけエビデンス・ベース・マーケティングと関係づけられるかにかかってくる。
企業が持つ「強み」をコアバリュー(Core Value)と呼んだとき、発信されるコミュニケーションの中核メッセージは、そのコアバリューを際立たせるもの、あるいは、競合との差別性を想起させるものでなくてはならない。また、単にテレビCMでイメージ訴求をすればよいというわけでなく、販売店舗や企業が展開するウエブ、そして、パッケージデザインに至るまで、すべての「顧客タッチポイント」に一貫したメッセージを持たせることも重要だ。
例えば、図3で言えば、類型パターン1の「ドクターコスメ系」というのは、皮膚科医による開発を出自とし、その評価をエビデンス・ベース・マーケティングに活用しているサクセスパターンである。この場合、販売されるチャネルは、出自と関係が深いドラッグストアや薬局などでもブランドメッセージの一貫性は担保される。
一方、類型パターン2の「異業種参入系」では、異なる事業ドメインで活用されたコア技術をCore Valueとし、技術的背景を強烈に訴求しながら「効果」・「効能」をメッセージとして打ち出しているサクセスパターンである。この場合、技術的背景には自社運営を行っている通販カタログやウエブが有効であり、逆に、それ以外のチャネルで無造作に販売すれば、ブランド毀損させる可能性もあるので注意が必要だ。
次は小売のPBでも活用可能な類型パターンを解説しよう。
早くも3刷!河合拓氏の新刊
「生き残るアパレル 死ぬアパレル」好評発売中!
アパレル、小売、企業再建に携わる人の新しい教科書!購入は下記リンクから。
河合拓のアパレル改造論2021 の新着記事
-
2022/01/04
Z世代の衝撃#4 Z世代を追えば敗北必至!取るべきトーキョー・ショールーム・シティ戦略とは -
2021/12/28
Z世代の衝撃#3 既存アパレルが古着を売っても失敗する明確な理由とは -
2021/12/22
インフルエンサー・プラットフォーマー「Tokyo girls market」驚異の戦略とは -
2021/12/21
プラットフォーマー起因の歪な過剰生産が生み出す巨大ビジネス、SheinとShoichi -
2021/12/14
Z世代の衝撃#1 ライブコマースで「インフルエンサー・マーケティング」が失敗する衝撃的理由 -
2021/12/07
TOKYO BASEがZ世代から支持される理由と東京がショールーム都市になる衝撃
この連載の一覧はこちら [56記事]
関連記事ランキング
- 2024-12-10ワールドが三菱商事ファッション買収!進むアパレル垂直統合、2つの課題とは
- 2024-11-26イタリア繊維産業に学ぶ、高くても売れるビジネスの秘密とは 染めと売り方が段違い
- 2024-12-03ユニクロ柳井会長がウイグル綿花不使用発言に至った理由と影響、その複雑な背景とは
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2024-12-17あなたはいくつ備える?AI時代に生き残るビジネスパーソン3つの条件とは
- 2024-09-03アローズにビームス…セレクトショップの未来とめざすべき新ビジネスとは
- 2023-09-26無印良品の一部となる三菱商事ファッションとユニクロ:Cの成功が意味することとは