部下を育てるのに必要なのは「自信」 鹿児島タイヨー副社長が説く伸びる人材の育て方

タイヨー取締役副社長:清川 照美
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 店で結果を出すと本部に帰ってきていただき部長のポジションに上がっている方もいらっしゃいます。1年後、再び、私のもとへ戻ってくる人もいますが、その時はさらに大きく成長し、すっかり別人のようになっています。「清川照美に改造された」と笑っています。

 多くの人を見てきましたが、少しとんがっている人のほうが早く変わりやすいようです。個性があり過ぎて、今の職場ではちょっとはみ出てしまう人が、経営の視点を身につけることで、大きく変わっていきます。

 波風を立てることが嫌いな平和主義の方でも1年後には自信をつけてはっきり物事を言い、 「嫌われるのがどうしたの」と言うくらいに変わった方もいらっしゃいます。もちろん職務として嫌われても、人としては慕われていらっしゃいます。

部下を育てるとは、部下へ愛情を持って指導。「自信」を育てること

 部下を育てること、人を育てることは、非常に難しいと言われます。MBO後、私は約6年半で数十人以上のTERUMIチルドレンを将来のブレーン候補として育成してきました。以前は、機会がなくその能力を発揮できずに眠っていた人々の意識を目覚めさせてきました。

 そのためには、まずその人のキャパシティーと思われる仕事の、 30%アップくらいの仕事をお願いします。 もちろん、いきなりやり切れるわけではありません。しかし、それまで能力がありながら、それを眠らせていた人たちです。キャパと思われるレベルの 20%アップほどまでは、黙っていてもやれます。まずそれをしっかりと見守ります。さらに後 10%は、私が手伝いながら取り組んでもらいます。 こうして、かつての自分よりも遥かに上のレベルの仕事ができることを、本人に自覚してもらうのです。

 こうして、かつての自分よりも遥かに上のレベルの仕事ができることを、本人に自覚してもらうのです。やり遂げた仕事、でき上がった成果物については、しっかり認め、褒めます。場合によっては昇格させたりもします。しかし、人はこのような報酬ばかりを目当てに育つわけではありません。

 効果が上がるのは、自らの成果をみなの前で発表してもらうことです。23カ月に一度行われている店長会議をはじめ、社員が集まる機会を用いて、できるだけ大勢の人の前で、自らの仕事の成果を発表してもらいます。私一人が褒めるよりも、こちらのほうがよほど自信をつけることに役立ちます。そしてこの自信こそ、その人をさらに大きく成長させていく原動力となっていくのです。

 縁があった人に、単にポジションだけでなく、それ以外の何かを受け取ってほしい。 「自信」こそが、清川照美と一緒に時間を過ごした最大の成果だと思っています。その様子を、私は母親のような深い愛情を持って、いつも見守っているつもりです。

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