スローガンは「商売人になろう」厳しい環境を人材育成で乗り切る!=ヤマザワ山澤進会長

チェーンストア・エイジ:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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尊敬されるリーダーになれ

──そうした中で、ヤマザワは「商売人になろう」というスローガンを打ち出しています。

山澤 店舗数や売上規模の拡大に応じて、サラリーマン気質というか官僚主義が顔をのぞかせ始めたという危機意識があったからです。

 たとえばこの6月上旬に臨店すると、ある店舗の青果売場にパパイヤが5ケースも入っていました。何も、この時期に輸入品のパパイヤを積極的に販売する理由はありません。

 とても暑い日が続いていましたので、それよりも、「スイカやメロンを売ったほうがよいのでは」とアドバイスをしたのです。まだスイカは出始めですから、1個丸ごとでは手頃な金額とはいえません。それならば、8つに切って並べればいいだけのことですが、担当者はピンと来ていないようで、平然としています。それで、「何年勤めているのか」と叱りました。

 仕入れやすい商品を仕入れ、売り方にも工夫が感じられないのですから、当社の現状は商売人とはほど遠い存在になっているわけです。

──会長のような商売人になることは相当ハードルが高いのではないですか?

山澤 確かにそうかもしれません。

 でも、当社のグループ企業に粧苑ヤマザワ(山形県)というドラッグストア(DgS)がありますが、1つ15万円もする高額のクリームを20個も売るのです。聞けば、お客さまと店員の強固なつながりの中で売っているというのです。信頼関係と換言してもよいかもしれません。

 実際、店長は500人からのお客さまの名前を覚えており、お客さまを名前で呼ぶようにしているというのです。やればできるものなのですが、同じようなことをSMができているかと言えば必ずしもそうではありません。

 そこでヤマザワでは、笑顔で接客することを目的に「スマイルキャンペーン」を実施しています。毎日接客訓練をすることでスキルの向上を図っているのです。

 商売人はキメの細かい心配りが必要です。急に雨が降ってきたらば、傘を差し出せばいい。荷物が重そうであれば駐車場のクルマまで運んで差し上げればいい。そのくらいの気持ちが必要なのですが、なかなかできていません。

 話はちょっと違うかもしれませんが、最近流行のセルフレジの導入について、私は、「待った」をかけています。SMでも会話を交わし、従業員とお客さまが触れ合う場所が必要だと考えているからです。そして、そういうことの積み重ねが商売人を育成していくのだと思います。

──そういう商売人を育成するために「あこや経営塾」を開催していると聞いています。

山澤 「あこや経営塾」というのは、当社の本部がある山形市あこや町に由来するもので、大学卒業後5年以上経過した希望者約30人を対象にした勉強会です。月1回の開催で、年間7回を実施。すでに4期生を送りだすに至っています。私も講義しますし、昼食をともにして会話を交わし、スキンシップを密にすることで、ヤマザワの経営理念を浸透させていきたいと考えています。

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チェーンストア・エイジ

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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