内部で改善・改革!中高年層の需要を深掘りして成長図る=エコス平 邦雄 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
構成:小木田 泰弘
Pocket

価格とMDを見直して売上と利益を伸ばす

──具体的には、どのような手を打ったのですか?

 まず1つは、価格政策の大幅な変更です。

 わが国には、年間収入400万円以下の世帯が45%以上、個人では年間収入200万円以下の消費者が2000万人以上いると言われています。可処分所得は長年減少傾向にあるため、商品の低価格化は避けられません。

 にもかかわらず、エコスグループのグロサリーは、コンビニエンスストアよりも売価の高い商品がいくつもありました。それではお客さまからご支持いただくことができないのは明白です。

 そこで当社が取り組んだのは、生鮮食品や総菜以外のグロサリーについて、エブリデイ・ロー・プライス(EDLP:毎日低価格)で販売することです。当社のEDLPは「地域の実勢売価に合わせる」ことです。EDLPの原資は、発注精度の向上と適正な在庫管理、そして店内作業を含めたローコストオペレーションの徹底により捻出しました。

 2つめは、商品政策(MD)の見直しと売場の標準化です。

 生鮮食品に限らず、これは当たり前のことですが、良質な商品をお客さまに提供するよう努めています。最近は単品の商品力が改善しつつあると感じています。

 店舗運営面に関しては、スーパーバイザーのような役割を担うトレーナーが数店舗をまとめて見る「エリア制」を敷いて、各店舗の売場の標準化を推進しているところです。結果として、売上や粗利益高、販売管理費が改善しています。

 たとえば鮮魚部門では、売上が対前年比で10%伸びた店舗もあります。マグロやお造り、塩干魚、魚卵などの商品力が引き上げられ、売場に商品を出すタイミングや陳列する数量が最適化されつつあることが改善につながっているのだと思います。

 やや停滞していた青果も、12年2月期は売上、粗利益高ともに順調に推移しています。精肉は一部の店舗で高品質の商品導入を開始するなど、引き続き利益貢献度の高い部門となるように改善を加えています。

──中でも総菜は最も力を入れている部門の1つです。

 そのとおりです。しかし、現状は、販売計画や製造計画、店舗の作業計画がうまくリンクしておらず、売上は一般的なSMに比べるとまだまだ低いと言わざるを得ません。06年10月から稼働した「エコスグループ川越惣菜工場」(埼玉県)によって製造計画や店舗での作業計画が立てやすくなりましたが、改善すべき点は多くあります。

 たとえば積極的に総菜を売り込もうという姿勢も店舗によってまちまちです。

 今年の節分は、積極的な販売目標を設定し、製造計画や店舗の作業計画をしっかりと立てました。総菜部門のパートさんのシフトもきめ細かく組んで、機動的な販売ができるようにしました。このように体制を整えて、恵方巻やお寿司を売り込んだところ、部門全体の売上が前年の30%増を記録しました。

 しかし喜んでばかりはいられません。売上が30%も伸びたということは、これまでは、あまり積極的にチャレンジしてこなかったからだと言えるからです。総菜部門に限ったことではありませんが、売上を改善できる余地はまだまだ残されていると思います。13年2月期は店舗の総菜部門の稼働計画を確立し、積極的なMDを仕掛けていくことを計画しています。 

1 2 3 4

聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態