ドラッグストア各社が電子薬歴システムサービス向上へ積極導入、課題は情報管理を伴うリスク対応

ダイヤモンド・ドラッグストア編集部
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 企業で積極導入が進む、電子薬歴システム。グローウェルホールディングス(東京都千代田区、高田隆右社長)は、対応店舗を2年後の2014年に3倍増の100店へ、2011年秋から本格的に導入を始めたマツモトキヨシホールディングス(千葉県松戸市、松本南海雄会長兼社長)は、2012年度末に4割増の180店へ導入することを、それぞれ目標に掲げている。

 電子薬歴システム導入のメリットは、紙の薬歴での「探す手間と、しまう手間」をコンピュータ上でのスピーディな検索によって省力化できる点。各種データ検索を活用することによって、薬剤師業務の効率アップ、正確な調剤業務と服薬指導への集中、その結果として患者の待ち時間短縮など、さまざまな効果が発揮される。画面上で添付文書・相互作用・副作用・検査値・服薬指導すべき内容の確認ができ、画面を通じて患者との密接なコミュニケーションの形成も期待される。

 さらに、薬剤師業務の標準化による薬局サービスの均一化と安全性の確保が進む。患者の処方内容・副作用・禁忌・生活習慣などの情報が電子薬歴にインプットされれば、次に患者が来店した際、初回とは別の薬剤師が対応することになっても、前回の処方を参照することで、安全で正確な調剤と服薬指導を可能とし、調剤過誤の防止にも大いに役立つ。

 機種によって違いはあるが、初回処方薬・調剤過誤注意薬・併用注意薬・禁忌薬などについて、厳重なチェック機能システムが搭載されているケースも珍しくなく、これによって注意事項や用法用量なども把握できるので、患者へ安心感を供与できるとともに、薬剤師個人や薬局経営上のリスク回避にもつながる。これも紙の薬歴にはなかった、大きなメリットだ。

 一方、課題となるのは個人情報の保護。診療履歴などは患者にとって他人に知られたくない情報であり、電子薬歴導入には万全の態勢・整備が欠かせない。「どこでもMY病院」構想や「電子版お薬手帳」サービスなど、政府の後押しもあり、医療情報電子化の流れは今後もスピードアップが図られるが、リスクへの対応が今後は企業の課題となりそうだ。

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